反則 ページ39
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『ホリデー』と銘打って、ほぼ遊びに近いロケをアスレチック施設でやっている。カメラは回っているけれど、それ以上に楽しい。人数が多いので二手に分かれて遊ぶことになり、わたしはひろくん・フェンファン・たじ・匠海・雄大と回っている。基本的にのんびりペースのメンバーたちだ。柾哉くん率いるもう一つのチームはきっと賑やかにしているだろうなと思わず口元が笑ってしまう。
「Aちゃんずいぶん楽しそうですね？」
「匠海も楽しいでしょ？」
「もちろん」
「来れてうれしいねー、MINIのみなさんにありがとうだよね」
「貸切やもんなあ」
「ねー！ すごいねー」
頷く雄大は顔いっぱいに笑みを浮かべていてかわいい。
「やる気満々ですね？ 佐野さん」
「そりゃあもう！ MINIにもAちゃんにもええとこ見せる！」
「尾崎さんはいかがですか？」
「雄大には負けへんつもりです、……なんか進行役のアナウンサーさんみたい」
三人でケラケラしながら歩いていると、置いてくよ〜と先にさっさと進んでいくお兄さんチーム(厳密にはたじはわたしより誕生日は後だけど)に言われて慌てて小走りについて行く。
「A、元気？ っていうか大丈夫？」
「ん、へーき。たじありがと」
成人男性と本気でアスレチックで競うのはなかなか体力的にしんどい。気遣ってくれてるのは一人だけ息が切れているからだ。
「Aって反射神経いいんだね」
俺越えちゃってるじゃん、とぽかぽかスタジアムのMVP・フェンファンが苦笑している(ちなみにわたしは爆笑されるほど瞬殺だった。ひろくんは岩かもしれない。あと一つ加えるなら、手心という言葉をみんなに進呈したい)。
「あれだ、手脚がもうちょっと長かったらたじにも勝てた気がする」
わたしの頭にポン！ と手を置いたたじはニヤリと口を笑ませた。
「Aはこのサイズ感だからかわいいんだよ」
「うわー若干腹立つ！ これだから手脚の長いやつは！！ ……でも、まあいっか。コーラ奢ってもらえたし」
「そうだよ、なんで俺……優勝したのにおかしくない？」
「ゴチソウサマ♡」
「ご馳走様でした将吾」
「美味しく飲んでくれたならいいけどさ〜」
腑に落ちない顔をしているのにフェンファンとイェーイ！ とハイタッチしてみせる。気を取り直したのか俺も〜と参加してくる。
「同級生楽しそうやん、俺も入れて」
なぜかひろくんも混ざって、最終的には全員で謎のハイタッチ会になった。雄大のこれ何の時間なん？ という言葉でお開きになる。
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作者名：co | 作成日時：2023年11月28日 1時
