手遅れかもしれない ページ28
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威尊による説明中、INIフォルダの撮影に似つかわしくない渋い顔をAは見せていた。
「アルティメット？ こんなんほぼ球技だよね……？ 戦力外です！！！」
両手を挙げて堂々と宣言するその姿に一同爆笑する。理人が欠席なので心・技・体チームよりデストロイヤーチームのメンバーが一人多いけれど、本人申告の通りきっと問題はない。それにしても足も速いし、身体は柔らかいし、基本運動神経はいいはずなのに、彼女の球技苦手っぷりはなかなかの筋金入りである。
隣に立つ険しい顔のひとに話しかける。
「Aいけそ？」
「……これがいけそうな顔に見える？ 柾哉くん」
「見えないねえ」
「今までの数々の実績を思い返している」
「Aサン素晴らしい実績をお持ちですからね……、へなちょこサーブだし」
「今日もディスクがあさっての方向行くよ」
「自信満々に宣言しないの！」
あまりに低レベルなパス回し練習対決の後、罰ゲームのおんぶスクワットを終えたところでAは放心状態だった。へたり込んでいる。復活を待って今は休憩中。他のメンバーはディスクに触れて練習していた。俺は気持ちげっそりしたAに話しかける。
「おーい、大丈夫か」
「……これ、が、だいじょぶに、見える……？ オニーサン」
「ごめん、オニーサンが悪かった」
隣にしゃがみ込んで目を合わせる。
「そうだよ……、何で一緒に罰受けてるはずの柾哉くんがおんぶされにくるわけ？ めちゃくちゃ笑ってたし」
ふぅと大きく溜息を吐いている。
「だってあっちのチームさ、A潰しそうで怖い、絶対コケるって言って誰もおんぶされにいかないんだもん」
「指名したのに迅も来てくれなかった……。ショックだ……、迅はいけると思ってたんだけど」
「A思ってる以上に最近の迅はデカくなってるよ」
「うーん……そうか……。やっぱりworld...だもんな……。でも向こうのチームでいけそうなのはそれでも迅……」
「こっちなら大夢か京介かな」
「どう考えても柾哉くんは違うのよ。……一説によると夜二倍マッチョになるらしいじゃないですか……」
「二回目まで頑張ったけど潰れちゃったもんね」
「なんで笑ってんの……」
ギャーーーッッ！！！ もうむりむりむりッッッ、まーーーーーちゃん！！！！！ スクワット三回目は立ち上がれず、見事な断末魔を残してAはぺしゃんこに潰れた。
「よく頑張りました」
頭を撫でようと手を伸ばすと、逃げるように頭を振っている。
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作者名：co | 作成日時：2023年11月28日 1時
