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……やられた。
撮った写真に気を取られていたら、しっかりやり返された。
「『おねーちゃんと遊ぼ』シリーズ俺も作ろかなー。『こっちみて！』だっけ？」
「え、なに、これめっちゃ照れる」
「わかりました？」
「いつもお姉さんとか、お姉ちゃんって呼ばないのに……」
「そんなんAちゃんだって『たっくん』なんて呼んだことないやん」
「これから呼んでみる？」
「それも恥ずかしい」
「確かに」
「他のメンバーもビックリするやろうし」
「何があった？ って感じだよね」
想像してふたりで笑う。
「面倒なことになりそうなひとも若干いるしねー。某『まぁちゃん』呼びを諦めてないお兄さんとか……」
「Aちゃん、それボカす意味ないんよ」
「『たっくん』は呼べる気がするのに、『まぁちゃん』の方はハードル高いの何でだろうな……」
「いや本当なんで？ っていうか『たっくん』かなり恥ずかしいからやめてな？」
「柾哉くんひとつ上だからかな」
「今、俺のことはスルーしました？ ええけど……。そんなこと言って西くんやって上でしょ？ なのに『ひろくん』？」
「あれはね、こっちが悪かった。調子乗って『ひろくん』って言ったのを気に入られたの。冗談だったんだけど……」
「へえー……そんなやったんや」
「あとやっぱりさ、いい歳して『まぁちゃん』って呼べないよ。かなり馴れ馴れしくない？」
「じゃあさ『まぁくん』は？」
提案を咀嚼してみる。ちゃん付けより、くんを付ける方がグッとハードルは低くなる、気がする。
「——いや、やっぱり柾哉くんは柾哉くん、なのよ。あのひとは、柾哉くん」
「そうかぁ」
その辺はAちゃんの感覚やからなあ、と匠海は不思議そうな顔をしていた。
「ねえ、さっきの写真使っていい？」
「どれ？」
「『たっくんと遊ぼ』」
「ええけど……じゃあ俺も『おねーちゃんと遊ぼ』やるよ？」
「えぇー……」
「うそうそ、やらんよ。そんな顔しなくても」
「ふたりともやったら恥ずかしすぎる……」
「……あのさ。その代わりさ、今度俺も『それじゃまた』ってブログに書いてもいい？」
「いいよ？ 別にわたしのものって訳でもないしね」
「俺の中では、これはAちゃんのなんよ」
数日後、ファンクラブサイトに匠海のブログがアップされた。最後には
『それじゃまた』
の文字が綴られていた。彼の言った通り次の約束があるというのはうれしいものだなと思いながら、自分もプラメの末尾に同じように書き添えた。それじゃまた。
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作者名：co | 作成日時：2023年11月28日 1時
