うわさのあのこ ページ3
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目の前には長身の男性が十一人。
圧倒されるなあ……とひっそり思う。まして先輩である。緊張しない方が難しい。お互いのお仕事や時間の都合もあって、これまでご挨拶程度しかお話したことのなかったJO1さん。今日は両グループ合同で事務所の動画コンテンツの撮影のためスタジオに入ったはずが、ぐるりと取り囲まれているのが現在の状況である。
「あー！ ウワサの！！」
「……ウワサ……？」
佐藤さんはわたしの顔を見ると大きく笑顔を作った。
「そうだよ、ウワサの紅一点！」
女子メンバーがいる、それも一人だけ。——というのは先輩たちにとってとても興味を引かれることであるようだった。囲まれて萎縮しそうなわたしが気後れしないよう、フレンドリーな空気で口々に話しかけてくれる。
「Aちゃんの話はね、事務所の人からよく聞いとったとよ」
「そうなんですか？」
川尻さんの口調は柔らかい。博多弁に勝手に感じる親近感。
「うん。すごい『イケメン』だって」
「俺も聞いた」
にこやかに笑んでいる與那城さん、大平さん。正真正銘のイケメンが何を言っているのだろう、思わず笑ってしまう。
「いえいえ。とんでもないです」
どなたがそんな事言ってたんですか？ さあ誰だったかな……、でもいろいろ聞いたよー。俺も俺もー。口々に話し出す様子はとても賑やかで、INIとはまた違う家族感があるなと口角が上がってしまう。
「笑うと一気にかわええ感じになるんやね」
「Aちゃんってすごいクールなのかな？ って思ってたからね」
爽やかな河野さんと白岩さん。眩しいくらいにかっこいいなあと半ば感心していると、じっと視線を感じた。
「……？ 豆原さん？」
「あ、すいません」
「どうかしました？」
「いや……、なんかじろじろ見過ぎちゃってすみません」
一気に騒がしくなる。まめー！ 見惚れてんのか！！ なんだなんだ、まめー！！
「あっ、ちょっ、ちょっと待って？」
途中、何かに気づいたように佐藤さんが大きな声を出す。何や景瑚ー？ どうかしたんですか？
「Aちゃんってもしかして俺たちのこと全員苗字呼びな感じ？ まめが『豆原さん』だから、俺は？」
「佐藤さん」
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作者名：co | 作成日時：2023年11月28日 1時
