. ページ15
.
「だってどう考えても俺たちの方がパワーあるでしょ」
「わたし結構筋肉あるよ」
大夢と京ちゃんならお姫様だっこできちゃうかもしれないよ！？ 言いながら力こぶを見せるような仕草をしている。子供みたいでかわいい。
「たぶん、一般的な女性よりは力持ちだよ」
「それはそうかもしれない。これだけ踊ってるとね。体力つくもんね」
ほらー、と得意気にしたところに容赦なく追撃。
「でもAちゃん見るからに軽いもん」
「うっわ！ 大夢がそれ言う？」
「舐めないでもらえます？ Aちゃんよりは重たいよ」
「ええー？ 大夢あとで体重計載って」
「Aちゃんも計る？」
「……それはやだ……」
一応乙女なので……とAちゃんが恥じらっている。普段『ここにいる間はほぼ男みたいなものだから』とありとあらゆることを俺たちと同じようにこなしてきているかっこいい彼女だけど、やっぱり体重はセンシティブなテーマであったようだ。
話題を戻す。
「パートスイッチさー、どっちかって言うと俺も苦手かも」
「えー、大夢毎回ちゃんと踊れてるよ」
「パートスイッチそのものっていうか……その前……。くじ引き……」
「あぁ〜〜……そっちー……」
毎度毎度パートスイッチをやる度に何でかメインダンサーを引いてしまう俺を思い浮かべてるのだろう、Aちゃんは明らかに笑っている口元を抑えている。
「俺、くじ運悪いんかな……、いや？ いいのかな……？ 当たり？ ハズレ？ 当たり……？ うーーん……？？」
「当たりって言ってあげて、うちのメインダンサーたち泣いちゃう」
いつか大夢がメインダンサーでするパフォーマンスも楽しそうだね、なんて言いながらニコニコと笑いかけてくるのに、その曲のメインボーカルは彼女がいいななんて思う。女性としては少し低くて、深く伸びやかな歌声に合わせて踊る自分。きっと俺は最高のメインダンサーを張るのだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 445人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：co | 作成日時：2023年11月28日 1時
