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キュッと一度口を結び、腹を括ったのか、京ちゃんは雑誌をパラパラやるとあるページを開いた。
「これです」
「？ これ？ わたし？」
「そう。Aちゃん」
また目を逸らして、ポツポツと白状しはじめた。
「……この雑誌、Aちゃんひとりでインタビューと撮影受けたやつ。昨日発売だったんだけど、評判いいって知ってました？」
「うん？ マネージャーさんからは聞いたよ。ありがたいね」
「何でか知ってる？」
「そこまでは」
「そっかあ……、うーん……言わなきゃダメ？」
「まーきーすーけー？」
「言います、言います。……あのね、この時のスタイリング覚えてます？ Aちゃん珍しく女性らしい格好してたでしょ？ スカートとかさ」
ちょっと言い淀んでいる。
「それで？」
「あーもう！ スカート短いし、脚出してるし。他も普段肌見せないのに肩とかちょっとおなかとか？ チラッと出してるし。……とにかく、そういうAちゃん俺あんまり見たことないから。気になったの！」
そしたら本人が入ってきたんです！ 最後は半ばヤケになったように京ちゃんは白状した。
「それは、げっ、だねえ……」
「もう、ほんと、ビックリした……」
「隠さず見てればよかったのに」
「何か恥ずかしかったんですよ……もうこれ以上勘弁して」
そんなものかなあと聞いていたけど、ここでちょっとだけ魔が差した。悪戯心というやつである。
「きょーちゃんの、すけべ」
「！！！？」
彼は目を白黒させて、わたわたと手を振っている。そんな事ないからね！？ ただあんなの見たことないから……って違う、全然やましい気持ちとかないから！！
「冗談だよー、京ちゃん。わかってるよ」
「もう、ほんっと、勘弁して……」
Aちゃん、心臓に悪い。そう言うと京ちゃんはぐったり脱力してテーブルに突っ伏してしまった。そのつむじを眺めながら髪の毛をわしゃわしゃ撫でる。
「ねえ、もしかして今日早かったのって」
「そーですよ、あれ買うために早く出たの。悪い？」
「全然悪くないよ。むしろお買い上げありがとうございます」
「も〜〜……、ほんとこのひとやだ…… 」
わしゃわしゃしていた手を捕まえられて、おや？ と思う。乱れ髪の彼は顔だけこちらに向けた。
「あんな格好したなら教えてくださいよ」
「ん？」
「心の準備が必要なので」
なにそれと笑っていたけれど、京ちゃんは至極真面目な顔をしている。
「心臓もたないんで。今後は是非ともご連絡いただけると幸いです」
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作者名：co | 作成日時：2023年11月28日 1時
