今日:20 hit、昨日:74 hit、合計:92,721 hit
小｜中｜大
きらきらひかる ページ1
.
とろけそうな夕方の光の中、颯爽と歩く見覚えのある姿が過った。俺は慌ててドライバーさんにお願いして近くで降ろしてもらう。ここからなら彼女の通りそうな道は公園を突っ切って家に戻るルートの可能性が高い。あまり寄り道をするタイプではないし、足早に向かう。
予想はやっぱり当たった。
綺麗に染め上げられた金の髪を隠すようにキャップを被り、長く細い脚は一歩が大きい。追いつくのに思ってたより時間がかかってしまった。意外と歩くのが早い。小さく咳払いをして、ちょっとだけ声を整える。
「……すみません。もしかして、INIの花房Aさんですか？」
振り返った顔は、いつも大きな瞳をさらに大きくしていて、うっかり溢れてしまいそうだと思った。
「あ、はい、そうです……って、匠海！」
もう、ビックリした！！ 文句を言いつつ、ふはっと空気が抜けるような音を出してAちゃんは笑いはじめた。俺はごめんごめんと謝りながら横に並んで歩き出す。スピードはさっきよりずっとゆっくりだ。
「なんかさっきの、いつものちょっと声違くなかった？」
「うん。ちょい低くしとった」
「本当に知らない人だと思ったー」
「Aちゃん、まじすごいビックリ顔やった。ごめんね」
「ほんとだよー」
MINIの人かな？と思って振り向いたら、匠海笑ってるし。言いつつ、ニコニコして腕に軽くパンチを打ってくる。可愛らしいほどの力加減。猫だってこんなに柔らかくパンチはしないだろうな、なんて俺はバカなことを考えてみる。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 445人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：co | 作成日時：2023年11月28日 1時
