Revolution of Nothing

26ターン目 ページ33

神璃家の客間で勝太とルシファーがセツを待っていた。彼女は必要なものを自室に取りに行っている。セツの祖母が出してくれた煎茶は手付かずのまま机の上にあった。
「お待たせしました」
　分厚く大きなアルバムを手にセツが客間の襖を開ける。装飾の少ないシンプルなものだが革張りのいかにも重そうなアルバムはドンと音を立てて机に置かれた。
「……まずは私と彼の関係ですね」
　そう言うとセツはアルバムを開く。しばらくページを捲り、目当ての写真を見つけるとアルバムを勝太達の方に向けた。その写真を見た2人が目を見開く。
「これは……！」
「嘘だろ！？」
　そこには2つの家族が写っていた。3人の大人と3人の子供。男児の左右に灰色の髪をした女児2人が並んでいる。女児の片方は今目の前にいるセツであると分かる。そして写真の中のセツが嬉しそうに手を繋いでいる男児は――
「バサラ……！」
　特徴的なピンクと白の髪。勝太達が、下手をすればデュエマーランドの人間ですら見たことがない笑顔の赤城山バサラがそこにいた。
「私の母とバサラに……バサラさんのお父さんが昔からの知り合いでした」
　見開きの別の写真にはセツともう1人の女児がバサラの父と思われる男性のバイクに乗せてもらっている様子が写っている。
「バサラさんのお父さんは世界的なレーサーで家を開けることの多かったんです。そこで私の母が面倒を見ていて……」
　他のページには一緒に遊ぶ姿もある。どれも今のバサラからは想像できないものだった。
「色々な事情があって……バサラさんとは離ればなれになってしまったんです。だから私はどうしてバサラさんがロールシャッハを預かろうとしたのかは分かりません。ですが……」
「バサラなら大丈夫。昔から知ってるからそう判断したんだね」
　ルシファーの言葉にセツが頷く。
「勝太さん、ルシファーさん。私はバサラさんが今何をしているのか、なぜあなた達がバサラさんを警戒しているのか知りたいんです。教えていただけますか？」

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