【文スト】御都合が良すぎる財団職員様。

8.腹一杯の行き倒れ様。 ページ8

「どうしたらそんなに胃に入るのやら。」


猛スピードで増えて行く空の茶漬け椀を眺めながら詞葉はわらび餅を食べていた。


「おい太宰。早く仕事に戻るぞ。仕事中に突然「良い川だね」とか云いながら飛び込む奴がいるか」

「おかげで見ろ。予定が大幅に遅れてしまった」

「苦労しますね。」

「小娘ぇ！お前はそんなに堂々と人の金で勝手に買った物を食うな！」

「えっ」

横の敦を一瞥してから国木田と名乗る男を見た。国木田は黙った。


「国木田君は予定が好きだねぇ」


バン、と言う音と共に机上に登場した国木田の手帳。とても大きく理想と書かれている。


「これは予定表では無い！理想だ！我が人生の道標だ。
そしてこれには『仕事の相方がジサツ嗜癖』とは書いてない！」


その手帳に興味を持ったのか、茶漬けを頬張ったままの敦が声をかけた


「ぬんむいえおむんぐむぐ？」

「五月蝿い。出費計画の頁にも『俺の金で小僧が茶漬けをしこたま食う』『俺の金で小娘がわらび餅を食う』とは書いてない」


「未来余地レベル。」

「んぐむぬ？」

「だから仕事だ！俺と太宰は軍警察の依頼で猛獣退治を」


「君達なんで会話できてるの？」

「猛獣退治？」

と、そこで最後の1椀を相変わらずのスピードで食べた敦が満足そうに言った。



「はー食った！もう茶漬けは十年は見たくない！」

「あ、私もご馳走さまでした。」

「満足そうで何よりだよ。」

「お前ら…」


苦労人、矢張苦労する

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