【文スト】御都合が良すぎる財団職員様。

7.苦労する探偵職員。 ページ7

「苦労は凡てお前の所為だこのジサツ嗜癖！お前はどれだけ俺の計画を乱せば＿」

文句を叫ぶ眼鏡の男に敦は半ば既に同情しながらも引きがちな目を向けていた。
もちろん詞葉も例外ではなかった。


「大変そうだね……この人。」

「そうですね…。」

「えー。国木田くんは毎日喜んでいるよ。
…あ、そうだ。良い事を思い付いた。彼は私の同僚なのだよ。彼に奢って貰おう。」

「へ？」

「人の金では…？」


2人の困惑を他所に、この男は国木田と呼んだ自分の同僚に奢ってもらう気万満載だった。

「聞けよ！」


他所だった。


「君達…名前は？」


「中島……敦ですけど。」

「羽山詞葉です。」

上機嫌で男は言った。


「ついて来たまえ。敦くんと詞葉ちゃんは何が食べたい？」

「はぁ…あの…」

頭をかいて矢張引き気味に述べた。

「茶漬けが食べたいです。」

「甘いものが食べたいですね。」

此奴は適度な遠慮を知らなかった。

男はなにか面白かったのか吹き出した。

「良いよ。国木田くんに三十杯くらい奢らせよう。君も勿論国木田くんに何でも奢らせよう。」


「俺の金で勝手に太っ腹になるな太宰！」


「太宰…？」


その先の名前を静かに待った。


「嗚呼、私の名だよ。」





「太宰＿＿＿＿太宰治だ。」


この唐変木、太宰治と言う名前があったらしい。あまりの変人度合いに本の少し短い懐かしさを覚えた。

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