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12.虎が怖い放浪少年様。 ページ12

月明かりが乱暴に入る倉庫の中、太宰は完全自さつ読本と言う中々特殊な本を読んでいた。敦は木箱を背凭れに座り、詞葉は2人から離れた木箱の横に立っていた。
敦は太宰の読んでいる本を見て少し引いたような顔をした。


「…本当にここに現れるんですか?」



「実は私もそれはそう思う。」


おもむろに呟くように聞いた敦と同様に詞葉も頷きながら太宰の方を向いた。それに対し本のページから目を話さず余裕そうに太宰は答えた。


「本当だよ。心配いらない。」


眉をぴくりと上げた詞葉は間髪入れず聞いた。


「なんでそう言いきれるんですか。」

「こう見えても武装探偵社の一隅だ。虎が現れても私の敵じゃないよ。」


「はは…凄いですね。自身のある人は…」

おもむろに呟いた敦の一言で、太宰と詞葉の視線は其方に移った。


「僕なんか孤児院でもずっと「駄目な奴」って言われてて___


その上今日の寝床も明日の食い扶持も知れない身で」

(私もそうなんだけどなぁ…人生の軌道が違うからか、よっぽど中島さんの方が酷く見えるんだな。)

顔を伏せてしまった敦を太宰は何とも表現しがたい表情で見た。そしてその目は月に。敦も釣られて見上げた。ただ、詞葉一人が木箱の埃を見詰めていた。

「却説____そろそろかな。」

「何が__

次の瞬間、ガタンと言う物が落ちる音がした。敦はびくりと震え、極端に動揺していた。


「今……そこで物音が!」

「そうだね。」

「きっと奴ですよ太宰さん!」

焦ったように叫ぶ。

「風で何かが落ちたんだろう。」

「何の気配もない…大丈夫だと思うけど。」

大人は諭した。


何かが始まりそうな直感的な嫌な予感に、財団職員は逃げる準備を始めていた。

13.放浪少年の虎様。→←11.困惑する財団職員様。



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なしりんご(プロフ) - こころさん» ありがとうございます!!少し遅くなりそうですが、主人公が探偵社入社と同時に、番外作ろうと思いますので、亀更新ですが暖かい目で見て頂けると有りがたいです! (2023年2月5日 23時) (レス) @page11 id: 70d5ff20c0 (このIDを非表示/違反報告)
こころ - 英検お疲れ様です!更新お疲れ様&待ってます! (2023年2月4日 18時) (レス) @page11 id: fa05d75225 (このIDを非表示/違反報告)
こころ - ありがとう御座います…! (2022年12月30日 15時) (レス) @page9 id: fa05d75225 (このIDを非表示/違反報告)
なしりんご(プロフ) - こころさん» コメントありがとうございます!とても励みになります。そうですね、アベルやカインなど、人型のオブジェクトはどうしても原作に寄せれないのでちょくちょくこっちで匂わせて、番外編など作ろうと思っております!お待ちください! (2022年12月29日 22時) (レス) id: 70d5ff20c0 (このIDを非表示/違反報告)
こころ - 初コメ失礼します!更新待ってます!因みにカインとアベルって出せますか…? (2022年12月29日 8時) (レス) @page5 id: fa05d75225 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なしりんご | 作成日時:2022年12月28日 11時

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