甘味処営業中です【鬼滅の刃】

雨の日 伍 ページ8

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少しだけヒリヒリと痛む頬をさすりながら私も不機嫌そうな顔を作る。

誰もいない甘味処の座敷で男女が互いに不機嫌そうな顔をして睨み合っているという何ともシュールな光景だ。


「……………」


『……………』


「……………」


『………………………ふ、』




暫くして堪え切れなくなって笑ってしまった。
それを皮切りに二人で笑い出す。


「くっ…ははは、Aのその顔は不機嫌な顔か？幼子が拗ねた時の顔の様だぞ」


『錆兎さんこそ』





ひとしきり笑った後、そういえば試作品があるんですよと言っておはぎを出した。

これは私が作ったもので、今お婆ちゃんに合格をもらおうと頑張っている品なのである。



『お代は結構なので意見ください！』

「なるほど、分かった」



いただきます、と二人でもぐもぐと咀嚼する。
私は結構良くできたと思っているけど。



「…少しだけ、餡が甘過ぎる気がするな。
もう少し抑えてもいいと思うが。」



これはこれで美味い、と付け足してくれるあたり錆兎さんの優しさが垣間見える。


『成る程…ありがとうございます！』



「ああ。

…！おいA、少しこっちを向け」


『？何ですか、っむぐ』



いきなり顎を掴まれ、唇を指でなぞられたと思ったら錆兎さんの親指には餡が付いていた。

その手はそのまま錆兎さんの口元に持っていかれ、彼はそれを舌で舐め取った。



「付いていたぞ」



艶めかしく笑って言った。



『……………へ、』



一方の私は何にも声を出すことができない。
ただただ顔が熱くなっていくばかりで口が機能しない。

そんな私を見つめて満足そうに笑っている彼の顔をただ見つめることしかできなかった。









取り敢えず、この餡は甘過ぎた

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