甘味処営業中です【鬼滅の刃】

お萩 弐 ページ25

＊


『最近は大きな怪我とかしてませんか？』

「………あァ」

『したんですね？？』



外にはもう先程の夕焼けの姿はなく、ただ蟲の鳴く声と夜風の音だけがあった。

外の営業中の看板は中に仕舞ってしまった。
もう人も来ないだろうから



『無理はいけませんよ、心配します』



珍しく私が真剣にそう言いながらお茶を飲むと、彼もまた「…わかってらァ」とだけ言ってお茶を啜った

不死川さんは結構自分の身を顧みないところがあるから前から心配していた



彼が頭から血を流しながらここにきたのはいつだったか。

私はそれを見て卒倒し、お婆ちゃんが不死川さんを看てくれたんだっけ




『____あ、このお萩、前錆兎さんと義勇さんも食べてったんですよ』



ぴしり、と固まる不死川さん

あれ？地雷踏んだ？？？
しのぶさんが言っていたことは冗談ではなかったのか？話に出すのも嫌なほど義勇さんを嫌って…？

義勇さんは仲良くなりたかったぽいけど…？？


け、喧嘩は良くないよ…ね…




『不死川さん、

「俺の前で他の男の話をすんじゃねェ」

………え、』





彼はそう言うと頭をガシガシと掻いた。


「……お前が他の奴の話すると苛つくんだよォ」




意味わかんねェ、

そう呟いた不死川さんを見て、私は思わず小さく笑ってしまった。
それを見て不死川さんは怪訝そうに顔を顰める


「なァに笑ってんだァ…？」


『いや、なんかちっちゃい子みたいで可愛くて
………ふふっ』



誰が餓鬼だ誰がァ、そう言って私の頬をつねる彼の耳が赤く染まっていたのは私の見間違いかもしれない。

四人目→←お萩

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す