続き(完) ページ49
Final story 真鳥side
『末澤くんと皆の明日に笑顔を』
恐らく今までこんな大規模パニックは無かった。
末澤の荷物を取りに特支教室へ続く廊下を歩いていると今度は大泣きの淳弥と大橋に出くわして。
今江と丈も取り乱していたあの状況で、精神的な負荷は大きかっただろう。ましてや小学生２人。
「誠也くんは…？」
「もう落ち着いたから大丈夫やで」
「先生っ…びっくりした…」
「ごめんな、怖い思いさせてもうて」
気を一層引き締めなければ。そう決意した昨日。
せめてもの救いか収束は早くて特支教室の面々やカウンセリングに訪れた末澤も回復したようだ。
お兄さんの自傷行為を止めようとした拍子に怪我をして、病気を抱えたお兄さんの気持ちを知りたかったのだと末澤は行為の理由を教えてくれた。
「今日はしんどくないか？」
「うん、平気。お兄と自分は違うって分かった」
いつも通りの授業が終わって特支教室へ向かう。
末澤の腕を引こうとした今江に制止を入れる丈、思えばこの２人の関係性も随分成長したものだ。
今江は力持ちやから右腕でも危ないか？と、暫く見ない間に随分と顔色の良くなった古謝も来て。
「古謝くん！」
「久し振り、淳弥」
真っ先に気付いて名前を呼ぶなり駆け寄っていき大きな声で古謝に話し掛けている淳弥は、およそ聴覚障害者と思えないほど社交的で明るい笑顔。
また賑やかな特支教室の雰囲気が戻りつつある。
実際は何も変化していない放課後のチャイムさえ普段の急かされる音より何処か軽快に聞こえた。
「よっしゃ、そろそろ下校やで！」
ぱんと手を打ち鳴らして促せば喋り続けながらも今日は珍しく一斉に身支度を終えて立ち上がる。
頭を撫でたり肩に触れたりして、１人ずつに声を掛けて後ろ姿を見送るのが自分のルーティーン。
「じゃあばいばい、まとくん先生」
「淳弥も帰る？今日は用事無いけど」
「やったぁ古謝くんと一緒！先生また明日！」
「ほら準備せえ今江、んで大橋も来るなら来い」
「先生ばいばい」
「丈くん待って！あっ、さよならー！」
障害の壁も学年の差も特支教室を訪れる生徒達にしてみれば何のことは無く、誰もが普段の生活でコミュニケーションを取っている内に当然の如く心は互いの個性を受け入れ体は苦手を補い合って過ごしている、それだけだと言うかも知れない。
けれども大人になって眺める景色は眩しかった。
校内で唯一と言っても良い温かさを持つ教室には今日も懸命な努力と少しの息抜きに笑顔が咲く。
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y - MOON NIGHTさん» こちらこそ完結までお読み下さいまして誠にありがとうございました。読者様に支えて頂いた部分は凄く大きかったですし、ほっと心が温まるようなお話を通して私の伝えたかったことや自分の心そのものを整理できたので良かったと思います。長らく御世話になりました。 (2018年1月24日 14時) (
レス) id: cd7f25b263 (このIDを非表示/違反報告)
MOON NIGHT(プロフ) - 完結お疲れ様です。ステキなお話ありがとうございました。作者様の書く文章が大好きです。何か、こう、温かさを感じていました。本当に素晴らしいお話をありがとうございます。 (2018年1月23日 23時) (レス) id: 38dd7cb8aa (このIDを非表示/違反報告)
y - MOON NIGHTさん» こちらこそリクエストして頂きまして誠にありがとうございました。色々なお褒めの言葉、嬉しい限りです。これからも本作品をよろしくお願い致します。 (2017年11月14日 7時) (レス) id: cd7f25b263 (このIDを非表示/違反報告)
MOON NIGHT(プロフ) - リクエストお応えいただいてありがとうございました！やはり作者様の書かれる文章がとても好きだなあと改めて感じました。心情表現というか人との関わりの表現だったりストーリーそのものが大好きです。続きのお話も楽しみにしております。 (2017年11月13日 18時) (レス) id: 38dd7cb8aa (このIDを非表示/違反報告)
y - さちお。さん» ２度目のコメント＆リクエストありがとうございます。朝田くんは毎年校外学習に行っていない設定なので特支教室メンバーでの学校訪問だったり見学などといった形になると思います。他に細かい希望があれば後からでもコメントして下さい。 (2017年10月28日 8時) (レス) id: cd7f25b263 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：y | 作成日時：2017年8月20日 12時
