続き ページ48
Final story 朝田side
『末澤くんと皆の明日に笑顔を』
先生達が来てくれたことで騒動は片付いたけど、聴覚よりも遥かに全身が拾っている心臓の鼓動はまだ変わらず大きく響いて収まる気配がしない。
末澤くんの腕にあった傷はただの怪我だったの？
ここにいた全員が焦ってた。絶対普通じゃない。
「淳弥…その、さっきは色々ごめん」
「んーん、ごめん俺の方こそ…もう大丈夫？」
「おう。今江帰るで」
タイミング的には不思議やけど無事に仲直りして丈くんは大地くんを連れ特支教室から出て行く。
和也は何ともないかな、と考えつつ視線を向けていたら目が合って思い出したような顔をされた。
「もしかして淳くん血ついてない？」
「あ、ついてるかも知れへん。和也も見せて」
２人で手をひっくり返したり御互いに確認すると血を止めようとして無我夢中になっていたせいか俺の両手は至るところに付着した血で赤黒くて、和也の指にも末澤くんの服を捲った時に付着したであろう血が点々と見られることに今更気付く。
「水道で洗おっか」
「うん、淳くん一緒に行こ」
同じ汚れの手と手を繋ぎ合って、それでも充分なほど伝わる確かな温もりと安心感がここにある。
そんな特支教室を出るまでの雰囲気が嘘のようにこびりついた血と向き合う間はただただ無言で。
冷たい水が刺すような痛みは、指先から胸へと。
独り言のような和也の呟きが手の動きを止めた。
「…僕もう特支教室におるの嫌や」
「どういうこと、」
「皆が楽しそうじゃないから。淳くんと丈くんはずっと喧嘩してて、それ見て大地くんもいっぱい困ってたし、那伊留くんにも最近会ってないし」
「そんな…」
ごめん、和也。その一言がどうしても発せない。
偉そうに他人を心配してた自分こそ大きな負担を掛けて、せめてもの気持ちで必死に和也は悪くないと訴えても和也の首は横に振られるばかりで。
「だって和也のせいじゃないやん…」
「違うねん。僕な、誠也くんが辛そうにしてるの知ってて何もせんかったのっ…やから僕のせい…」
「そんなこと言わんとってよ、」
段々と言葉が詰まって、鼻を啜りながら痛々しくしゃくり上げて泣いてる顔をタオルで覆う和也。
抱き締めるくらいしか出来ない自分が情けない。
本当は自分だって怖くて誰かに縋りたいのに＿＿
「淳弥！大橋！」
どれくらい経ったか、名前を呼ぶ声と廊下を走る足音が聞こえて振り向くと見えた真鳥先生の姿。
今度こそ２人揃って涙腺が決壊したらしかった。
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y - MOON NIGHTさん» こちらこそ完結までお読み下さいまして誠にありがとうございました。読者様に支えて頂いた部分は凄く大きかったですし、ほっと心が温まるようなお話を通して私の伝えたかったことや自分の心そのものを整理できたので良かったと思います。長らく御世話になりました。 (2018年1月24日 14時) (
レス) id: cd7f25b263 (このIDを非表示/違反報告)
MOON NIGHT(プロフ) - 完結お疲れ様です。ステキなお話ありがとうございました。作者様の書く文章が大好きです。何か、こう、温かさを感じていました。本当に素晴らしいお話をありがとうございます。 (2018年1月23日 23時) (レス) id: 38dd7cb8aa (このIDを非表示/違反報告)
y - MOON NIGHTさん» こちらこそリクエストして頂きまして誠にありがとうございました。色々なお褒めの言葉、嬉しい限りです。これからも本作品をよろしくお願い致します。 (2017年11月14日 7時) (レス) id: cd7f25b263 (このIDを非表示/違反報告)
MOON NIGHT(プロフ) - リクエストお応えいただいてありがとうございました！やはり作者様の書かれる文章がとても好きだなあと改めて感じました。心情表現というか人との関わりの表現だったりストーリーそのものが大好きです。続きのお話も楽しみにしております。 (2017年11月13日 18時) (レス) id: 38dd7cb8aa (このIDを非表示/違反報告)
y - さちお。さん» ２度目のコメント＆リクエストありがとうございます。朝田くんは毎年校外学習に行っていない設定なので特支教室メンバーでの学校訪問だったり見学などといった形になると思います。他に細かい希望があれば後からでもコメントして下さい。 (2017年10月28日 8時) (レス) id: cd7f25b263 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：y | 作成日時：2017年8月20日 12時
