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続き ページ46

Final story 大橋side
『末澤くんと皆の明日に笑顔を』

相変わらず言い合いばっかりの淳くんと丈くん。
大地くんを見たらあっという間に静かになるけどこれで喧嘩の原因が大地くんの取り合いみたいな話やったら僕は心の底から呆れようと思ってる。

「どうしたん?」
「あー…いや、先生おらんなあって」

そんな時いつも通りに特支教室へ来た誠也くんはそう言って辺りを見回す。心なしか元気が無い。
きっと何か疲れてしまう出来事があったんかな。

「誠也くん大丈夫?」
「平気平気…んー、しんど…」

矛盾した言葉に声色。はぁー、と吐いた溜め息。
誠也くんが真鳥先生を探しに特支教室へ来るのは大抵そういう時が多くて、少なくとも誠也くんが今ぐったり壁に凭れて隠すような深呼吸をしてるのも知ってるし、表情は見るからに暗くて心配。

「誠也くん今日ほんまに…」
「すえー?」
「っ!!いっ…」

悪い予感は当たる。いつの間にかやって来ていた大地くんが何の気無しに誠也くんの左腕を引いた瞬間、声にならない叫びと共に倒れてしまった。
体を打ち付けた鈍い音がして皆も集まってくる。

「ぐっ…ぁあっ!はぁっ、痛…い…っ!」
「おい末、それ…!」

誠也くんの手を指差して叫ぶ丈くんの震えた声にひゅっと喉の奥が鳴ってごくりと唾を飲み込む。
腕を強く押さえる指の隙間から見えた、真っ赤に染まった服の袖。そんな、嘘だ。袖口を恐る恐る捲ると、目に飛び込んで来たのは無数の切り傷。

「丈!」
「あかんっ…今江…」

そうや、丈くんは確か血が苦手って言うとった。
全く動けなくなってしまった丈くんにしがみつくような形で大地くんも突然の騒ぎに戸惑ってる。
正直あんまり僕も見たくないけど…と思いながら誠也くんの左腕に宛てがおうとしたティッシュがさっと取り上げられて傷を包み込む、隣を見ると全く動揺していない手捌きの主は淳くんだった。

「俺がやるから和也は先生呼んで来て!」
「えっ…先生って、あ、保健の先生、やんな?」
「誰でも良いから早くして!急いで!」
「わ、分かった!」

あまり聞かない淳くんの大声、この中でなら一番速く連絡できるのは自分だと判断して駆け出す。
夢主先生には誠也くんが怪我してるとだけ言って飛ぶように職員室へ入り真鳥先生とリチャ先生に特支教室の状態を知らせると、直ぐ行くからって机の上の作業もそのままでこっちに来てくれて。
誠也くんは真鳥先生に抱えられ運ばれていった。

続き→←末澤くんと皆の明日に笑顔を



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y - MOON NIGHTさん» こちらこそ完結までお読み下さいまして誠にありがとうございました。読者様に支えて頂いた部分は凄く大きかったですし、ほっと心が温まるようなお話を通して私の伝えたかったことや自分の心そのものを整理できたので良かったと思います。長らく御世話になりました。 (2018年1月24日 14時) (レス) id: cd7f25b263 (このIDを非表示/違反報告)
MOON NIGHT(プロフ) - 完結お疲れ様です。ステキなお話ありがとうございました。作者様の書く文章が大好きです。何か、こう、温かさを感じていました。本当に素晴らしいお話をありがとうございます。 (2018年1月23日 23時) (レス) id: 38dd7cb8aa (このIDを非表示/違反報告)
y - MOON NIGHTさん» こちらこそリクエストして頂きまして誠にありがとうございました。色々なお褒めの言葉、嬉しい限りです。これからも本作品をよろしくお願い致します。 (2017年11月14日 7時) (レス) id: cd7f25b263 (このIDを非表示/違反報告)
MOON NIGHT(プロフ) - リクエストお応えいただいてありがとうございました!やはり作者様の書かれる文章がとても好きだなあと改めて感じました。心情表現というか人との関わりの表現だったりストーリーそのものが大好きです。続きのお話も楽しみにしております。 (2017年11月13日 18時) (レス) id: 38dd7cb8aa (このIDを非表示/違反報告)
y - さちお。さん» 2度目のコメント&リクエストありがとうございます。朝田くんは毎年校外学習に行っていない設定なので特支教室メンバーでの学校訪問だったり見学などといった形になると思います。他に細かい希望があれば後からでもコメントして下さい。 (2017年10月28日 8時) (レス) id: cd7f25b263 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:y | 作成日時:2017年8月20日 12時

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