続き(完) ページ31
Original story 末澤side
『それは末澤くんなりのSOS』
目を覚ますと確かな自分の体温がそこにあった。
抱え込んでいた体の下敷きになって圧迫され殆ど感覚の無かった右腕をゆっくりと伸ばしていく。
関節にくる若干の痛みと血流が末端まで行き届く特有の解放感を肘から指先に掛けて感じながら、強く噛み締めて固まっていた顎を数度開け閉め。
「末澤くん起きたか。大丈夫そう？」
何やかんやと本来の自分の体を取り戻そうとしてゴソゴソ動いていたら、音で起きたのが分かったらしく夢主先生が体温計を持って近付いてきた。
計った熱は36度台に戻っていて体調もかなり楽。
ベッドの縁に腰掛けて、まだボーッとしてる頭を振りつつボサボサになってた前髪を撫でつける。
「末澤？どうしたん今度は」
「…まとくん先生」
「また悩んでるって顔しとんで」
「…やってお兄もうずっと症状出てないねんで？やのに最近は俺の方が体調崩してて、アホみたいやねんもん。その度にストレスがどうとかって」
しんどい時って、妙に言葉がするする出てくる。
俺が思ってること何でも話させようとする先生のせいにしたいのに、毎回毎回その優しさに甘えてしまってる俺も俺やっていう事実が情けなくて。
だけど、じわりと浮かんだ涙はやっぱり今日も手の甲で擦るより早く先生の指がなぞっていった。
「ほーら何泣いてんの末澤」
「もう嫌…愚痴ばっかり言いたくないのにっ…」
「溜め込んでも体に悪いって知ってるやろ？」
「でもそんなん、結局弱いだけやんか…」
「末澤は弱ないよ。どんどん大きくなってるし、これから体と一緒に気持ちも強なるから。な？」
まとくん先生は今までみたいに甘えさせるような言葉じゃなくて真っ直ぐ俺を受け入れてくれて。
別に小っちゃいのを気にしてた訳じゃないけど、俺が求めていたものは自分が確かに成長してて前に進めてるっていう自信だったのかも知れない。
寄り掛かったら何時もより強く抱き締められた。
「ちょ、いだだ…」
「ほんっまに大っきなったなぁ末澤」
「真鳥先生ー？親戚の男の子と違いますよ？」
これも力加減せんで良くなったって事なんかな。
まとくん先生の腕の中で見る景色はいつの間にか半分くらい開けていて、何かくすぐったい気分。
ちらっと目に映った、まとくん先生の後ろにいる夢主先生は昔からずっとそうやって微笑みながら見てたんかなって思ったら少し恥ずかしくなったから、緩みかけた頬は先生の肩に埋めて隠した。
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y - MOON NIGHTさん» こちらこそ完結までお読み下さいまして誠にありがとうございました。読者様に支えて頂いた部分は凄く大きかったですし、ほっと心が温まるようなお話を通して私の伝えたかったことや自分の心そのものを整理できたので良かったと思います。長らく御世話になりました。 (2018年1月24日 14時) (
レス) id: cd7f25b263 (このIDを非表示/違反報告)
MOON NIGHT(プロフ) - 完結お疲れ様です。ステキなお話ありがとうございました。作者様の書く文章が大好きです。何か、こう、温かさを感じていました。本当に素晴らしいお話をありがとうございます。 (2018年1月23日 23時) (レス) id: 38dd7cb8aa (このIDを非表示/違反報告)
y - MOON NIGHTさん» こちらこそリクエストして頂きまして誠にありがとうございました。色々なお褒めの言葉、嬉しい限りです。これからも本作品をよろしくお願い致します。 (2017年11月14日 7時) (レス) id: cd7f25b263 (このIDを非表示/違反報告)
MOON NIGHT(プロフ) - リクエストお応えいただいてありがとうございました！やはり作者様の書かれる文章がとても好きだなあと改めて感じました。心情表現というか人との関わりの表現だったりストーリーそのものが大好きです。続きのお話も楽しみにしております。 (2017年11月13日 18時) (レス) id: 38dd7cb8aa (このIDを非表示/違反報告)
y - さちお。さん» ２度目のコメント＆リクエストありがとうございます。朝田くんは毎年校外学習に行っていない設定なので特支教室メンバーでの学校訪問だったり見学などといった形になると思います。他に細かい希望があれば後からでもコメントして下さい。 (2017年10月28日 8時) (レス) id: cd7f25b263 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：y | 作成日時：2017年8月20日 12時
