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*続き(完) ページ24

ぴょん♪様リクエスト 丈side
『今江くんのパニック症状』

今の瞬間に何が起こったのか、判断がついてから体が動くのに多分1秒も掛からなかったと思う。
さっきの今江に負けず劣らず位の勢いで、後ろに椅子を蹴り下げると同時に前へ立ち上がった俺は今江の後ろ姿を追いかけて教室から走り出した。

「今江!待てって、落ち着け!」
「ああああぁっ!うあああ!」

廊下を走って、階段を曲がって駆け下りて、時々声が聞こえてきたり走ってんのが開いてる窓から見えて何事かと一瞬ざわめくクラスもあるけど、そんなんに構ってる余裕は無いからガン無視で。
ただただ今江を追ってるうちに気付けば1階まで下りてきてて、辿る道筋にも目星が付いてくる。

「はぁっ、ぅああっ!」
「えっ大地くん!?丈くんも!」

予想通り、最終的に辿り着いたのは特支教室。
中に1人でいた大橋は驚いてて、今江は教室の隅にある机の入り組んだ小さな空間へ潜り込んだ。
ここに入ったら落ち着くまで動かへんと思うけどまた出て行かれへんとも限らへんから念のために特支教室の後ろのドアを閉めて鍵を掛けておく。

「今江がパニック起こしてる、先生は」
「真鳥先生は出張で、リチャ先生は別の授業…」
「はぁ!?マジか…」

しかも大橋と一緒にいた先生が職員室に行っててもう少しで戻って来るらしい。なんか若い先生。
まだ開いてる前のドアと今江のいる空間を交互に見ながら考えても場を鎮める方法が思いつかん。
もう先生が来る…先に動き出したのは大橋で。

「先生!さっき大地くんが来てパニックやの!」
「え、大丈夫?」
「大橋!おいお前」
「うん…ごめんなさいっ!」
「!!…。大橋、ナイス」

俺は息を吐いた。大橋にそう言ったのは、ドアと横の壁に手をつけて先生を入れずに閉めたから。
正直、ちゃんと今江のことを理解してくれる先生が居らへん今は刺激をシャットアウトすることが精一杯になる。そういう意味では、ナイス判断。

「僕は事情を説明したもん。仕方ないの」
「せやな。これ先生やったらどうにもならんで」

いつの間にか今江は俺らのところに出て来てて、国語と数学の教科名が書かれた時間割り表に使うプレートを持ってる。自分で整理しようとしてることが分かったから、背中をさすってあげる。

「誰おるんや?大橋ー?今江もおるかー?」
「…リチャ先生や」
「開けて、大橋」

リチャ先生が来たからドアを開けて一応謝った。
結構色々あったけど、解決できたし良かったわ。

作者より→←*今江くんのパニック症状



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y - MOON NIGHTさん» こちらこそ完結までお読み下さいまして誠にありがとうございました。読者様に支えて頂いた部分は凄く大きかったですし、ほっと心が温まるようなお話を通して私の伝えたかったことや自分の心そのものを整理できたので良かったと思います。長らく御世話になりました。 (2018年1月24日 14時) (レス) id: cd7f25b263 (このIDを非表示/違反報告)
MOON NIGHT(プロフ) - 完結お疲れ様です。ステキなお話ありがとうございました。作者様の書く文章が大好きです。何か、こう、温かさを感じていました。本当に素晴らしいお話をありがとうございます。 (2018年1月23日 23時) (レス) id: 38dd7cb8aa (このIDを非表示/違反報告)
y - MOON NIGHTさん» こちらこそリクエストして頂きまして誠にありがとうございました。色々なお褒めの言葉、嬉しい限りです。これからも本作品をよろしくお願い致します。 (2017年11月14日 7時) (レス) id: cd7f25b263 (このIDを非表示/違反報告)
MOON NIGHT(プロフ) - リクエストお応えいただいてありがとうございました!やはり作者様の書かれる文章がとても好きだなあと改めて感じました。心情表現というか人との関わりの表現だったりストーリーそのものが大好きです。続きのお話も楽しみにしております。 (2017年11月13日 18時) (レス) id: 38dd7cb8aa (このIDを非表示/違反報告)
y - さちお。さん» 2度目のコメント&リクエストありがとうございます。朝田くんは毎年校外学習に行っていない設定なので特支教室メンバーでの学校訪問だったり見学などといった形になると思います。他に細かい希望があれば後からでもコメントして下さい。 (2017年10月28日 8時) (レス) id: cd7f25b263 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:y | 作成日時:2017年8月20日 12時

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