＊続き(完) ページ18
ちろ様リクエスト 古謝side
『大橋くんと信じる気持ち』
ガタッという音、大橋や、という丈の声そして、
＿＿振り向くとその場で崩れていく大橋がいた。
「和也！？どないした「嫌！来やんとって！」
慌てて駆け寄ろうとする末澤を鋭い叫び声で拒否した大橋に、俺も含めてピタリと動きが止まる。
そんな中で大橋の元へ近付いたのは丈やった。
立てよ、と言って、座り込んだ大橋の腕を掴み、強引に立たせたかと思うと丈は次の瞬間思い切り大橋の背中を教室の中に向かって蹴っ飛ばした。
「うわあっ！」
「危なっ、ちょっと丈！」
「はぁ…いい加減分かんねんよな、こういうの」
中途半端な距離で立ち尽くしていた末澤が咄嗟に受け止めたらしい。２人から丈に視線を移すと、
今まで１度も見たことの無い丈の姿があった。
溜め息をついて、ぞっとするほど鋭い目をして。
中学生にしては長身の丈に見下ろされ続け怯えた表情をする大橋のことを考えると可哀想だけど、今はもう大体察したらしい丈に頼るしかない。
「俺が怖いか」
「…ううん」
「末と古謝のことは」
「…怖くない」
丈に蹴っ飛ばされるまで過呼吸気味だった大橋は痛みで逆に落ち着いたのか呼吸をするのも忘れてしまったのか、ともかく話を聞いてくれる状態には戻ったようだからショック療法というやつか。
「…もう普通に聞くわ、何されたんや」
「えっ、和也」
「ここの誰ひとり怖くないのに教室入るのも怖くなるまで、向こうで何されたんか聞いてんねん」
末澤は大橋を受け止めたまま肩を支えていたから丈の言葉に反応したのが分かったんやろう、一瞬驚いた末澤の声を丈は無視して捲し立てていく。
一応は自制しているのか声を荒げこそしないけど微かに震えた丈の声には何処か哀しみも見えて。
重ねているのか、親友の今江と昔の丈自身に。
「…せぇ、やく」
「和也？俺も皆も、ちゃんとおるよ？」
「んっ…ずっと、落書きされてて…っ、机とか、ノートとか、いっぱい…いつも、皆が笑ってて…」
大橋は不安そうに末澤の肩にしがみついたまま、ボロボロと泣きながら事の次第を話してくれた。
ずっとドアの前に取り残されていた大橋の荷物を探れば悪質な落書きのノートが幾つも出てきて。
「大橋は俺らが守るから」
「誠也くんっ…」
「だから和也も信じて？まだ怖い？」
「ん…でも、信じたいから…」
「そっか、嬉しい」
それから先生にも相談できて暫くで収まったのか大橋も元気そうになったしホンマにほっとした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 153人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
y - MOON NIGHTさん» こちらこそ完結までお読み下さいまして誠にありがとうございました。読者様に支えて頂いた部分は凄く大きかったですし、ほっと心が温まるようなお話を通して私の伝えたかったことや自分の心そのものを整理できたので良かったと思います。長らく御世話になりました。 (2018年1月24日 14時) (
レス) id: cd7f25b263 (このIDを非表示/違反報告)
MOON NIGHT(プロフ) - 完結お疲れ様です。ステキなお話ありがとうございました。作者様の書く文章が大好きです。何か、こう、温かさを感じていました。本当に素晴らしいお話をありがとうございます。 (2018年1月23日 23時) (レス) id: 38dd7cb8aa (このIDを非表示/違反報告)
y - MOON NIGHTさん» こちらこそリクエストして頂きまして誠にありがとうございました。色々なお褒めの言葉、嬉しい限りです。これからも本作品をよろしくお願い致します。 (2017年11月14日 7時) (レス) id: cd7f25b263 (このIDを非表示/違反報告)
MOON NIGHT(プロフ) - リクエストお応えいただいてありがとうございました！やはり作者様の書かれる文章がとても好きだなあと改めて感じました。心情表現というか人との関わりの表現だったりストーリーそのものが大好きです。続きのお話も楽しみにしております。 (2017年11月13日 18時) (レス) id: 38dd7cb8aa (このIDを非表示/違反報告)
y - さちお。さん» ２度目のコメント＆リクエストありがとうございます。朝田くんは毎年校外学習に行っていない設定なので特支教室メンバーでの学校訪問だったり見学などといった形になると思います。他に細かい希望があれば後からでもコメントして下さい。 (2017年10月28日 8時) (レス) id: cd7f25b263 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：y | 作成日時：2017年8月20日 12時
