＊続き(完) ページ20
MOON NIGHT様 ﾘ ｸ ｴ ｽ ﾄ 丈side
『丈くんの優しさは痛みにも』
今んとこ俺と今江は教室の席も近いんやけど。
正直言って今マジでヤバい。頭おかしなりそう。
それもこれも、障害者理解とかいう授業のせい。
視覚やら身体障害の為のバリアフリーが何だとか言うてるけど何回繰り返して聞いてきたやろう。
こんな近くにもっと目に見えへんくて分かり難い障害を持ってる奴がいる学校やのに、そう思うと腹が立って仕方無いからこの授業はほんま嫌い。
「丈、保健室行こ」
「っは？」
とにかく自分の感情が爆発しないように集中してたら今江に手を引かれ、あっという間に保健室。
「丈くん優しいもんな、他人の辛いことも自分のことみたいに考えちゃうんやろ？ゆっくり休み」
それだけ夢主先生に言われて今江と２人になってもうなんか、全部見透かされたみたいな感じや。
不覚にも涙まで出てきて情けない気持ちで一杯。
すると今江の親指が俺の右頬、涙の筋に触れた。
視線を上げると今江が俺を見詰めて泣いていて、涙を溜めた大きな目は俺から全く逸らされない。
「今、江？」
「…」
「なあ、今江って」
「…」
何を言っても頬に指を置いたまま泣いてる今江。
でも不思議なことに、俺の涙は止まっていた。
昔から今江が言いたいこと伝わらんくて叫んでるところなんか数えきれへんくらい見てきたけど、涙を零す姿は１回も見たことが無かったんやって今更気付いたし、何かその顔を見てるだけで俺の気持ちなんてどっかに飛んでいったっていうか。
「今江、ほら。泣き止めよ」
「…丈も、笑って？」
ただ流れていくだけで、どんなに綺麗だろう。
張り裂けそうな思いとか全身で伝えようとしてるものとか何もない、綺麗に透き通る今江の涙は。
それと合わさってゆっくり溶けていくみたいに、答えも生まれずグルグル回り続けてショートしかけてた俺の頭は本来のリズムを取り戻していく。
ふっと力が抜けて、心も体も安らいだ気がした。
「ねー丈」
「ん？」
「僕、丈にいっぱい迷惑かけてるから…だから、丈もしんどいときは僕に心配かけるの、約束」
「…心配は自分から掛けるもんちゃうけどな？」
「ふふっ、そっかあ。でも約束やから」
「はいはい、今江は迷惑なんかやないで」
強く抱き付いてきた今江に小指を捕まえられて。
指切りなんて何年やってないかと思いながらも、今江のでっかい温もりは指だけで充分伝わってて照れくさいのも忘れるくらい無性に嬉しかった。
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y - MOON NIGHTさん» こちらこそ完結までお読み下さいまして誠にありがとうございました。読者様に支えて頂いた部分は凄く大きかったですし、ほっと心が温まるようなお話を通して私の伝えたかったことや自分の心そのものを整理できたので良かったと思います。長らく御世話になりました。 (2018年1月24日 14時) (
レス) id: cd7f25b263 (このIDを非表示/違反報告)
MOON NIGHT(プロフ) - 完結お疲れ様です。ステキなお話ありがとうございました。作者様の書く文章が大好きです。何か、こう、温かさを感じていました。本当に素晴らしいお話をありがとうございます。 (2018年1月23日 23時) (レス) id: 38dd7cb8aa (このIDを非表示/違反報告)
y - MOON NIGHTさん» こちらこそリクエストして頂きまして誠にありがとうございました。色々なお褒めの言葉、嬉しい限りです。これからも本作品をよろしくお願い致します。 (2017年11月14日 7時) (レス) id: cd7f25b263 (このIDを非表示/違反報告)
MOON NIGHT(プロフ) - リクエストお応えいただいてありがとうございました！やはり作者様の書かれる文章がとても好きだなあと改めて感じました。心情表現というか人との関わりの表現だったりストーリーそのものが大好きです。続きのお話も楽しみにしております。 (2017年11月13日 18時) (レス) id: 38dd7cb8aa (このIDを非表示/違反報告)
y - さちお。さん» ２度目のコメント＆リクエストありがとうございます。朝田くんは毎年校外学習に行っていない設定なので特支教室メンバーでの学校訪問だったり見学などといった形になると思います。他に細かい希望があれば後からでもコメントして下さい。 (2017年10月28日 8時) (レス) id: cd7f25b263 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：y | 作成日時：2017年8月20日 12時
