いつでもおいで。

＊大橋くんの体調不良(完) ページ15

あさ様リクエスト 大橋side
『大橋くんの体調不良』

朝に眠くてボーッとしながら立ち上がると、何か一瞬だけ頭がぐらぐらして直ぐ治る時ってない？
でも今日はそれと比べ物にならんレベルやった。
頭を軽く振ったらズキズキと痛みも襲ってくる。

「和也どっかしんどい？」
「ううん、大丈夫」

朝御飯を残したからか怪しまれて咄嗟に隠した。
お母さんがトイレに行った隙を見て、棚の中からこっそり風邪薬を出して気休め程度に飲んどく。
そしたら安心したのもあってか学校に着く頃には頭のもやもやした感じが少しスッキリしていて、このまま忘れられるかなと思いつつ特支教室に。

「和也おはよ」
「おはよう淳くん、漢字やりに来てん」
「もう？」

僕が毎日やってる漢字練習はノートに１ページ分やること以外決められてなくて、時間とか内容は自分のペースに合わせて選んで練習するルール。
普段は皆が見に来てくれる放課後に宿題も含めてやってるんやけど後回しにして悪化したら困る。

「お、大橋来たか。はい練習ノート」
「リチャ先生、今日ちょっと復習して良い？」
「じゃあ今月やった辺りチェックしてみよか」

まだマシなうちにノルマクリアしてしまおう。
こんな状態で新しい漢字の練習なんて無理やから今日はリチャ先生に頼んで復習にしてもらって。
最近ちょっとずつ覚える力も付いてきてるから、これで何とか平静を保てると良いんやけどな…
ただそんな考えは甘かったんやと直ぐ気付いた。

「大橋？今日、調子悪いか？」
「え…あ、そんなことないです」

隣でリチャ先生がそう言うのは、多分さっきから僕が何回も鉛筆や消しゴムを落としてるせい。
ノートの字も綺麗とか汚い以前に筆圧が薄過ぎて自分ですら何を書きたかったのか分からない程。
書字障害と診断された僕だけど、その本質は字の認識力より遥かに手を動かす力が普通より弱い。
それで体調悪いってきたら殆ど力入らへんねん。

「大橋お前ほんまに…って、大橋！？」
「リ…チャ、先、生…」

段々リチャ先生の声が遠くなって、手汗で濡れた手から鉛筆が床に滑り落ちる音を最後に目の前が暗くなる。リチャ先生が受け止めてくれた感触はあったけど、また眠るみたいに無感覚になった。

「ん…」
「かずや起きた！」
「大丈夫？」

目が覚めると自分は保健室のベッドに寝かされていて、横から大地くんと淳くんが覗き込んでる。
昼休みまで寝てたみたいで、でも体調は大分楽になってたから２人と一緒に特支教室へ戻った。

本編が短くなったので番外編→←＊続き（完）

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