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フウカの話は、昔してくれた夢とあまり変わらなかった。俺はフウカの手を握りながら話を聞いていた。しかし、徐々に話は逸れ、身近の不満の話に変わっていた。表情も常に垂れ下がっていた眉毛は喜怒哀楽に動くようになり、声のトーンもいつも通りの元気を感じさせた。
宿題が終わるまでゲームをさせてもらえないだとか、そもそも宿題が多すぎだとか。本来のただの、いや少しガサツな普通の女の子の愚痴だ。
そこで俺はとあるタイミングをうかがっていた。完全に手を放すタイミングを。今となって少し恥ずかしい。そんなことを考えていると、急に手に力を籠められる。
「手を放すタイミングどうしよう…って顔してる！」
俺とつながった手を上下に振りながら、顔を覗かれる。
「あっはは。本当分かりやすいわね〜！もういいわよ。今日なんもご飯食べていないからお腹空いたや。あたし帰るわね！今日はありがとう！」
吹っ切れた顔で部屋を出ていくフウカを見送ろとしたが、気になることがあった。
「そのボサボサの髪の毛で外出るのかよ」
「いいわよ別に。帰るだけだし」
確かにそうなのだが…
「ちょっとこっち座れ」
俺はフウカを椅子に座らせ、髪の毛をくしでとき、頭のトップから編み始めた。
「え、なに。そんなことできるの。あたしできないのに？」
「お前ができないからってなんで俺まで同類にされるんだよ」
まぁ、普通の男子ならできないほうが当たり前なんだろうけど。
フウカの髪の毛は柔らかくて、細い。やっぱりこの色が俺は、、、。
「よしできた」
そう言うと、フウカは下まで編まれた自分の髪の毛を触り、
「おーーー！！なんかすごい！あんた気持ち悪いわね！！」
「おい。はっ倒すぞ。ちょっと待ってろ」
「えーーまだするの。あたしお腹ぺこぺこなんだけど」
俺は引き出しの中から銀色の髪飾りを取り出した。その髪飾りをフウカの編んだ髪の毛に差し込んだ。
「なんでそんなの持っているのよ。もしかしてそちらの趣味をお持ちなのかしら？」
何かを疑うような目で俺を見る。
「ちげーよ。分かってるくせに変なこと言うな」
「ごめんごめん。にしても、捨てないで大事に持っていたのが少し驚いてただけ。お兄さんからもらうものいつも捨ててたじゃない」
「いいだろ。実際にこうやってリサイクルできたんだから。終わったよ」
「あたしに押し付けないでもらえます？ま、結構かわいいからいいけど。じゃ帰るわね！おじゃましましたー！」
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作者名：歩望 | 作成日時：2022年9月21日 0時
