らくだい魔女とかくれんぼ (ページ6)

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五話ページ6

会場に着くと俺はレイア様に駆け寄った。他の方と話していらしたが
俺の焦り用から分かったのか

「チトセではないか。どうした、汗だくだぞ。それに今にも泣きそうな顔
をしているではないか。フウカになにかあったのか？」

と、すぐにただ事ではないことを察してくれた。

「はぁ、はぁ。フウカが…、その、どこに行ったか知りませんか？
この会場にも…はぁ、部屋に、もいなく、部屋の窓が、開いて…、いた、んです。」

俺は自分の息切れのひどさに驚きながらもレイア様にフウカの居場所を
聞いた。しかし俺の願った返答ではなかった。

「いや…。スピーチした後、部屋で休んでおいでとは言った。だから今も部屋で
休んでいるもんだと。しかし、…やはり。私の結界に何も反応はない。いつもより何重にも
強くしているんだ。フウカの潜在能力があったとしても突破するのは不可能だ」

レイア様がおっしゃった通りならばフウカは銀の城の敷地外からは
出てないはずだ。俺が考え込んでいると

「すまない。チトセ。本当に情けないお願いをするのだが、フウカを一緒に
探してくれないか。きっとあの子が隠れている場所は私よりチトセの方が
詳しいのだろう…。フウカには沢山我慢をさせてきている。
私にはそれを癒すこともできず、慰めることが少々下手なのだ。
こんな母親を嫌って逃げ出したくなるのは当たり前だろう…」

そう言うレイア様は先ほどの威厳のある女王ではなく、娘を愛している
ごく溢れた母親の顔だった。

「もちろん探させてもらいます。しかし、本当にフウカがレイア様のことを
嫌っていたのなら、あんなに素直な子に育つわけがありません。
喜怒哀楽で、誰よりも人想いで、困ってる人はすぐに助ける。常に笑顔で
フウカがいるだけで周りの心を癒す。きっとレイア様を常に見て
育ってきたのでしょう。時々言っていますよ。『ママみたいになりたいな』と。
本人は心の中で言っているつもりですがいつも口に出ているんですよ。
あいつ、レイア様の雷が怖いだの、うるさいだの言う割には、周りのやつが
レイア様を褒めているのを聞くとすぐに『そう！すごいのよ！！』と
自慢しだすんですよ。めっちゃレイア様のこと大好きだと思いません？」

俺はちょっとおかしくなってきて笑いながらレイア様のことを見上げた。
そのレイア様の目からは美しい涙が零れ落ちてた。