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圭人「山ちゃんには敵わないね…」
圭人は、もそもそ呟くと、小さく鼻をすすった。
強く吹いた海風。
乱れた髪を掻き上げ、顔を上げた圭人の頬に、もう涙は見えなかったが、目はうっすらと赤く、潤んだままだった。
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圭人「…でもね、」
瞳に波を光らせて、また静かに話しだす。
蹴破り止めた歯車は、再び動き出した。
圭人「好きな人が幸せを掴めるなら、俺も幸せになれると思う。
山ちゃんには、一緒に走ってくれる…幸せを約束できる皆がいるから」
涼介「…まだそんなこと、」
圭人「未来を生きて、山ちゃん。
俺のために立ち止まらないで。お願い。」
冷たい風が吹いた。
息が白く空に溶ける。汗で貼り付いていたはずの服が背中を冷やす。指先がかじかんで痛んだ。空に、もう星は浮かんでいない。
水平線に沿って、一筋の白い光が見える。
圭人「これは、俺の最後のわがまま。」
白々と明けてくるのは、日の光じゃない。
背筋を凍らせる白い光が、海と空の境界線から、じわじわと暗闇を飲み込んでいく。
暖かみなどなく、ただまっさらに。
涼介「圭人…、！？」
ぽつり、と名前を呼ぶと、突然引き寄せられた。
圭人「…ありがとう。大好きだよ」
耳元で囁かれた言葉には、妙に安心感があった。ぎゅっ、と俺を抱きしめる手腕に力が入って、頬も、首も、肩も胸も。すくそばにあるのに。
…なのに、どうして、体温を感じられないんだよ…。
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圭人「バイバイ、山ちゃん。」
白い光は、圭人の輪郭を飲み込んでいく。
この世界にあるすべてが、冷たい光で埋め尽くされていく。
身体が、離れた。
涼介「行くな！圭人…っ」
手を伸ばしても、空を切る。
少しずつ遠くなる影。光の中に落ちていく感覚。
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涼介「まだ…終わりじゃない！終わらせてたまるか！！」
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必死に叫んだその瞬間。
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突然、閃光がはしった。
それは俺の脇を抜け、白い光を裂き、
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空間に、赤い飛沫が舞った。
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NMダイキング担 - 続き楽しみです！！！圭人君は大丈夫なのか……ドキドキです♭ (2019年10月17日 17時) (
レス) id: 238f9174c4 (このIDを非表示/違反報告)
NMダイキング担 - 更新ありがとうございます！みんなで元の世界に戻れるのか…ワクワクですo(^o^)o (2019年10月6日 0時) (レス) id: 238f9174c4 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - NMダイキング担さん» いつもありがとうございます！励みになります。またいつ更新が止まるかも分かりませんが、絶対最後まで書ききりますので、どうぞよろしくお願いします。 (2019年9月10日 23時) (レス) id: a8713bcbc6 (このIDを非表示/違反報告)
NMダイキング担 - 続き楽しみです！！！この小説の世界観が大好きです！ (2019年9月10日 22時) (レス) id: 238f9174c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユキ | 作成日時：2019年9月3日 23時
