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突然、辺りが明るくなった。
見上げると、天井に穴が開き光が漏れている。
宏太「あれは…」
裕翔「圭人が呼び寄せたものではあるけど、つくったものではないみたい」
だんだん膨らんでいく光。吹き上げる風で赤い羽根を散らし、ゆっくりと山田の身体が穴の中へ吸い寄せられていくのが分かった。
…嫌な予感がする。
慧「…止めよう。薮と裕翔の蔦も切って」
裕翔「でも圭人が、」
慧「分かってる。
でも今はそれ以外の方法はない。
切っても致命的にならない部分と今狙えるポイントを教えて。圭人の命を守れるように」
裕翔「…分かった。視てみる」
光の正体は分からない。
引き寄せたのが圭人だとしたら、あいつなりに皆を傷付けない方法を探ってるのかもしれない。
証拠に、縛られた身体は身動きはとれないが、締め上げられてる訳でもなければ、棘は内側にはひとつもない。
ただ、カラスの力と翼の力を混在させたこの状況。間違った判断である可能性も高い。
裕翔「…薮くんの右手首付近なら太い血管を避けられる。俺の方は無理。狙うのは圭人の左上腕皮膚。少しでもずれたら圭人の腕がぶっ飛ぶ、ヤマも危ない。気を付けて!」
慧「ありがと。」
左手で薮の右手首に絡まる蔦を狙って青い針を投げる。
緩い放物線を描き、フツ、と小さい音を立て植物を緩ませ、薮の右手も解放された。
その瞬間、圭人の右脚に小さな傷が出来たのを見逃すことはできなくて、小さく唇を噛んだ。それでも立ち止まってる暇はない。
慧「いくよ、薮」
宏太「ああ。」
自由のきく片腕を掲げ、圭人の姿を見上げる。
利き腕ではないのと緊張とで震えが止まらない。
宏太「…大丈夫。」
落ち着いた声にハッとする。
薮はこういう時ほど人を見てる。例え自分自身が同じように指先を震わせていたとしても。
最年長は名ばかりじゃないんだな、って改めて思い知らされる。
宏太「お前なら絶対できる。腐れ縁の俺が保証してやる」
そう言うと、薮は柔らかく笑った。
安心感が心臓を包み、小さく息を吐いた。
慧「…薮、」
宏太「ん?」
慧「俺、信じてるから。薮のこと。」
宏太「…おう。」
不思議と手先の震えは止まっていた。
指を伸ばす先。重なっていた圭人と山田の影が、ふと分かれた瞬間。
裕翔「今だ!」
声を合図に、指先から青と黄緑の閃光は放たれた。
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NMダイキング担 - 続き楽しみです!!!圭人君は大丈夫なのか……ドキドキです♭ (2019年10月17日 17時) (レス) id: 238f9174c4 (このIDを非表示/違反報告)
NMダイキング担 - 更新ありがとうございます!みんなで元の世界に戻れるのか…ワクワクですo(^o^)o (2019年10月6日 0時) (レス) id: 238f9174c4 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - NMダイキング担さん» いつもありがとうございます!励みになります。またいつ更新が止まるかも分かりませんが、絶対最後まで書ききりますので、どうぞよろしくお願いします。 (2019年9月10日 23時) (レス) id: a8713bcbc6 (このIDを非表示/違反報告)
NMダイキング担 - 続き楽しみです!!!この小説の世界観が大好きです! (2019年9月10日 22時) (レス) id: 238f9174c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユキ | 作成日時:2019年9月3日 23時