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慧side
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隙間に身体をねじ込み、薮と裕翔、俺の3人で蔦の塊の中へ飛び込んだ。
思いの外広く薄暗い空間で、山田と圭人は向き合っていた。
お互いに身動きひとつせず、しばらく見ていたがまばたきすらしていない。翼を広げ宙に浮かんだまま、時間が止まってしまったかのように。
慧「…どうなってんだ、これ」
宏太「裕翔、視えるか?」
薮が聞くと、裕翔は瞳を水色に光らせた。
翼のことを完全には理解できてない故に俺にはよく分からないが、裕翔には他人の能力が見えるらしい。
しばらく黙って二人を見つめていたが、
裕翔「…圭人が、幻覚作用のある胞子を操ってることしか。」
そう言うと、裕翔はふう、と息を吐いた。
その瞬間だった。爆発音とともに火柱が上がった。見ると、山田の身体が燃えている。
裕翔「ヤマ!!!」
すぐさま裕翔は飛び立とうとした。
でもそれは叶わなかった。
裕翔「わっ…!?」
傍らから伸びてきた太い蔦が裕翔の脚を捕らえ、絡め取るように全身を縛り上げる。
慧「裕翔!っ、」
気付いた時にはもう遅い。
俺も薮も、あっという間に蔦に捕らわれた。
焦げた臭いがする。
火柱は消えていた。宙に浮かぶ二人の身体は煤けている。なのに、赤い翼は艶やかなままで。
間髪いれず、再び火柱が上がる。
その度に二人の身体は火傷を負い、傷ついていく。
止めようともがいても、棘だらけの蔦はびくともしない。
それならば。
俺にも能力はあるらしい。物質を分解したり構築したりする力が。
縛られたままの右手に集中すると、青い針が指先から伸びる。そのまま指を動かすと、俺の身体に巻き付く蔦を切り落とした。
左腕が束縛から解放された瞬間、裕翔が悲鳴を上げた。
裕翔「いのちゃん!ダメだ!」
慧「え?」
宏太「…あれを見ろ」
薮の視線の先…圭人の頬に小さい切り傷ができていた。真っ赤な血が一滴、輪郭を流れた。
慧「…嘘だろ?」
裕翔「この蔦は圭人とリンクしてる。蔦を切り刻んだら圭人の身体まで…」
そんな馬鹿な話、と裕翔を見ると、瞳は水色を灯していた。
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NMダイキング担 - 続き楽しみです!!!圭人君は大丈夫なのか……ドキドキです♭ (2019年10月17日 17時) (レス) id: 238f9174c4 (このIDを非表示/違反報告)
NMダイキング担 - 更新ありがとうございます!みんなで元の世界に戻れるのか…ワクワクですo(^o^)o (2019年10月6日 0時) (レス) id: 238f9174c4 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - NMダイキング担さん» いつもありがとうございます!励みになります。またいつ更新が止まるかも分かりませんが、絶対最後まで書ききりますので、どうぞよろしくお願いします。 (2019年9月10日 23時) (レス) id: a8713bcbc6 (このIDを非表示/違反報告)
NMダイキング担 - 続き楽しみです!!!この小説の世界観が大好きです! (2019年9月10日 22時) (レス) id: 238f9174c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユキ | 作成日時:2019年9月3日 23時