拾捌話 ページ22
A視点
そうして、この格好を見せに中原幹部と芥川君の処に行く破目になった私。
あの後、じゃあ早速行きましょうって云う事になって、首領に此の姿を見られて温かい目で見られたのが何よりも辛い。
今この状況よりも辛い。似合ってるよって生温かく微笑みながら言われたのが余計に辛い。
………でも、笑顔は絶対に崩さない。崩したら負けよ。
そんなこんなあって、まぁエリス嬢と一緒に現在地へと向かっているわ。
正直、この服を晒しに行くのは公開処刑以外の何物でもないけれど………
まぁ、もうそれは別に良いわ。諦めたし。
ただ、別の問題が発生しちゃったのよねぇ。
A「エリッ………エリス嬢!!!無理!無理ですよ此れ!足を見てください!
足の震え方が生まれたての小鹿どころか工事現場のドリル並ですよこれ!あああ歩くの無理!
いやもうこれ絶対に足を踏み外したらグキッて逝く高さのヒールですし!駄目ですって!」
足がガクガク震えてるわ、だってヒールが高すぎるもの。冷や汗が滝のように出ているし。
それでも笑顔は絶やさないわ。引き攣っているかも知れないけれど。
よたよたよろよろと進んではいるものの、亀よりも遅い私の歩きをにエリス嬢はお怒りである。
そうは云っても、可愛らしい本気では無い怒りだけれど。
エリス嬢はぷんすこ怒りながら口を開く。
エリス「もう、情けないわね。今時の女子はそれ位履き熟すわよ?」
いや、ごもっともなのだけれど、其れとこれとは別と云うか。
私も一応ヒールは履けるけれど、ゴスロリの恰好は、私が幼い頃に首領が着せた時以来だし、その時は余り歩いていないし。
A「判っていますけど………私はヒールもそんなに履かないですし………
そして何より、厚底+ヒールは少しキツイですよ………」
慣れない靴を履いている所為で、壁に寄り添って何とか立っている状態の私を見てエリス嬢は溜息を付く。
そして何を思ったのか、顔を明るくさせて口を開くエリス嬢。
エリス「しょうがないわね………じゃあ、私が呼んでくるから此処で待ってて!」
A「エッ」
私が声を上げると当時に、スタスタと止める間もなく何処かに行ってしまうエリス嬢。
虚空に伸ばされた手は何処を掴む事も無く、虚しくも空中に放り出された侭。
私は暫く呆然とした後に直ぐに手を引っ込めて、取り敢えず其処に佇む。
………誰もこの道を通りませんように、と祈りながら。
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豆腐教信者(プロフ) - ありとあらゆる誉め言葉で褒めて貰えた!嬉しい!(語彙力は死んだ) (2018年5月20日 7時) (レス) id: 787e58ff6d (このIDを非表示/違反報告)
蘭香 - 面白い素敵萌える燃えちゃう(語彙力?そんなもの…そもそも語彙力って…なに?美味しいの?そもそもなんで人は語彙力を((( (2018年5月20日 5時) (レス) id: 4a14a6da47 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐教信者(プロフ) - 有難う御座います!こんな駄作にそんな…………寧ろ此方が分けて欲しい位ですよ! (2018年5月5日 21時) (レス) id: 787e58ff6d (このIDを非表示/違反報告)
如月 蒼華(プロフ) - すごい面白いですね!!羨ましいです...。面白さを分けて欲しいぐらいです... (2018年5月5日 21時) (レス) id: 52f62fc4d8 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐教信者(プロフ) - メンタル弱い系人間さん» ありがとうございまァァァァす!!_○/|_ (スライディング土下座) (2018年4月13日 23時) (レス) id: 787e58ff6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豆腐教信者 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年2月1日 22時