【文スト】ポートマフィアの非常識人

拾話 ページ14

A視点



其の言葉に私は思わず耳を疑う。どれだけ長い事勝負してるの………？

それよりも、其処まで長い間勝負をしても決着しない勝負って何？



笑いながら(何時もだけど)そう冗談交じりに言う。



A「あら、随分と長い間勝負してるのね。太宰君が勝ててないのは意外だわ」



然し其れに僕君は何も言わず、急にジッと私を見つめる。



私はソファーに座っていて僕君は立って居るから、目線は大分高低差がある。

だからと言って別に僕君が屈む訳では無く、上からただじっと濁った双眸で見つめられる。

良く分からないが、取り敢えず私も見つめ返す。



暫く無言の間が続いて、やがて僕君がゆっくり目を逸らした。



………一体今のは何だったの？



増えていく疑問に首を傾げる横で、僕君は口を開く。



芥川「………此の勝負に参加しているのは、僕と太宰さんだけではありません」



僕君の言葉に私は目を丸くする。でも笑顔だけは崩さない。

何？師弟関係は関係ない勝負なの？最早どんな勝負か見当もつかないわ………



と私が考えを巡らせている内に、僕君はまた口を開く。



芥川「太宰さんと僕は勿論、中原さん、そして他にも………その勝負は、ずっと昔から始まっている。

昔から、誰がどれだけ策を練り、それを実行しても。一向に決着が付く気配はありません」



其れを聞いて、へぇ、と相槌を打つ。

そしてそんなに難しい事で競っているのか、と驚く。

笑顔は崩さないけどね！



A「そんなに言うなんて、内容が益々気になるわね。

どんな問題でも、大体すぐに決着が付くと思っていたけれど………」



芥川「………その勝負は、簡単に見えて恐ろしく難しい。

然し、誰も諦めようとせず、寧ろその勝負に己が勝とうと躍起になっているのです。

何故ならば、その勝負により得られるモノが余りにも魅力的であり、諦めるには惜しいからです」



そう言った僕君も、何処か声に力が入っているように感じる。



何が僕君をそうさせるのだろう。矢張り太宰君に認めて貰う為？

と云うか、肝心の内容が凄く気になる。気になって夜しか眠れないわ。



何よりも、その勝負は面白そう。



A「へぇ、面白そう。私も参加したいわ」



と、私が思わずそう言った直後に返事が返ってくる。



芥川「無理です」



まさかの即答。余りの速さに一寸吃驚した。そして一寸悲しい。

其れでも動揺を表に出さず常に笑ってるって凄いと思わない？

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