Snow White vol.3:yesung story from SJ. (ページ27)

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125:イェソン。(YE) ページ27

その名前を貰った時

嬉しさと不安でいっぱいになったのを憶えてる。

下積みの間は

不安の方が大きかった。

歌っても歌っても

誰にも俺の声は届かないんじゃないかって

不安はいつしか恐怖に変わって

それでも歌うしかなかった。

今も同じだ。

世の中には俺より遥かに良い声をしてるやつが沢山いて

聴いてしまうと

心が揺さぶられて

不安になる。

『アナタと付き合う女性は幸せね。その声を独り占めできるなんて』

そんな言葉は

俺にとっては慰めにもならない

『さすがですね。本当に素敵な声』

時にはﾌﾟﾚｯｼｬｰに感じたりもして

褒め称えられて賞賛を浴びても

怖くて仕方ない時もある。

右側の耳から

俺のﾌｪｲｸが聴こえた

彼女の顔が

まるで俺の歌声に抱かれてるように

悶えるように歪んだ。

身体の奥の方から駆け上がってくる

これは何だ。

彼女の右の耳に唇を這わせて

心を言葉にした。

震えるように反応した彼女が

愛しくて

もっと俺に

俺の声に溺れてほしくて

ｲﾔﾎﾝを戻す。

自信がなかったわけでも、現にないわけでもない。

でもそれはいつでも恐怖と背中合わせだ。

彼女が唇をぎゅっと閉じた。

それはﾒﾝﾊﾞｰに声を聴かれないため？

それとも耳の中の俺の声を聴くため？

もしもそれが後者なら

少しの望みは

今、俺の自信となる。

愛してる

こんなにも

愛してる

彼女に聴こえない声

「…聴きたい。」
「…愛してるよ」

ｲﾔﾎﾝを外した彼女の唇が

「イェソン…」

俺のもう一つの名前を呼んだ。

何て綺麗な名前なんだろう。

当たり前のようにそう呼ばれ続けてたことが

信じられなかった。

イェソン

今改めて思う。

イェソンで居続ける意味。

それを伝えてくれて

ありがとう。

「ｼﾞｮﾝｳﾝ…愛してる」

そして俺を見つけてくれて

愛してくれて

ありがとう。

目を閉じて俺の背中いっぱいに腕を伸ばす彼女

この世のすべての幸福を集めても足りない程、愛しい。

誓うよ。

いつか…その日が来たら。

キミだけの俺の声で

永遠を。