119:完敗。(YE) ページ21
「…ただいま」
ｼﾝと静まり返った宿舎。
電気すら点いてない。
誰もいないのか？
ﾘﾋﾞﾝｸﾞに置手紙を見つけて
俺はついついﾆﾔﾘとしてしまった。
ハッ!…よし。Aは気付いてないな…。
「みんな出掛けてるみたい^^」
「何だか気を遣わせてるみたいで悪いな…」
そんなこと気にするな。
こんなことでもなければ飲みに行くことすらままならない俺たちだから。
ﾒﾝﾊﾞｰにとってはいい機会に違いない。
「Aこそ気遣わないでいい。」
「でも…」
「…俺腹減った」
「そうだよね!何か作るね?」
ﾊﾟﾀﾊﾟﾀとｷｯﾁﾝに入っていく後姿を見て
ほんわかした気持ちになる。
「あ!ﾘｮｳｸくんが作ってくれてるみたい」
さすがだよﾘｮｳｸ。
頭が下がるな〜
「ホントここまでしてもらうの悪いよ…」
「そんなことないよ^^食べよう?」
「いいのかな…」
「ﾘｮｳｸは食べてもらいたくて作ったんだと思うよ」
「そっか…」
ﾘｮｳｸが作ってくれたご馳走を
２人で食べた。
「美味しい!」
「そうだろ?アイツ料理好きだから^^」
美味しそうに食べるな〜
うんうん。
良い顔だ。
俺はその顔を見てるだけで腹がいっぱいだ!
「明日は夕方には帰るから。それから行こう」
「え?」
「店。探すんだろ？」
「そうだけど…」
「一緒に行く。約束した。」
嫌だって言ってもな？
俺は一度決めたことは曲げないぞ。
「今からﾈｯﾄで探して、明日気になった所を見に行こう」
「ｼﾞｮﾝｳﾝってさ、けっこう亭主関白ﾀｲﾌﾟだね?(笑)」
「いけないの?」
「いけなくはないけど…」
「けど、何?」
「奥さんに…なる人は少し大変だなって(笑)」
「笑うとこ?」
何だよそれ。
なりたくないのか?
死ぬまで一緒にいたいって言ったよ?
「怒るとこ?」
「別に怒ってない。」
俺ってこういうとこ大人気ないよな。
自分でも解ってるさ。
これは記念すべき第１回目のｹﾝｶってやつかな。
よく言うよね。
最初が肝心だって。
俺は…ﾀﾞﾝﾏﾘを決め込むぞ!
なんつっても亭主関白だからな!
それなのに。
２０秒後の俺はAの機嫌を取るハメになった。
「ｼﾞｮﾝｳﾝ…こういう時は、『じゃ、Aは大変だね?』とか言ってくれないと私拗ねて寝ちゃうから。」
うん。俺、完敗だ。
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作成日時：2012年1月13日 13時
