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▷あなた
目が覚めて、隣に眠るのはやまとくん。寝顔はまるで少年。やっぱり歳下って可愛いな。
少し離れたところで煙草に火をつける。二口、三口と吸ううちに、罪悪感が煙と共に溶けていく気がする。
ま、気がするだけだけど。
最低な土曜日の朝だけど、なんだかスッキリしている。…やることやってるからなんだけどね。
きっと昨日の上司と話してるのもやまとくんは見ていたはず。それでも何も言わなかったのは、彼の優しさなんだと思う。
強い言葉に、数々のアクセサリー。まるで本当の自分を隠して偽るような。
私にそっくり。
煙草の火を消して、ベッドに腰掛けるとやまとくんが目を覚ました。
やまと「…ん、おはよ、」
「おはよ。」
なにも言わないでいてくれるのが、心地よい。
都合の良い、大人の関係。
「明日打ち合わせ、大丈夫?私同行できないけど。」
本社に来てもらっての打ち合わせ。他のメンバーも来るみたい。
やまと「だいじょーぶ。」
ペットボトルボトルの水から口を離して、無邪気に笑う。
やまと「なに、見惚れた?(笑)」
「自分で言って照れてるし(笑)」
やまと「好きになっちゃダメだよ?」
「うっわ、キザ(笑)」
ああでも、最初に私が言ったんだっけ。
好きにならないでね。
…そうしたら、好きにならないから。
最低な朝だけど、悪くはないかな。
君が何も言わずに笑ってくれるから。
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作者名:aki | 作成日時:2021年9月5日 12時