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▷やまと
A今日会える?
AからのLINE。基本返信は遅いし既読はつかないし、嫌われてんのかと思ってたけどそうじゃないみたいだ。
小さくガッツポーズをしてから、速攻返信してシャワーを浴びた。
やまと迎え行く!
新宿まで車を走らせて、Aの元へ。
初めて会った時からまだ1ヶ月も経ってないけど、会いたかった。いつでも会いたいと思っていた。
…うわ、ハマっちゃってない?大丈夫、俺??
待ち合わせ場所に車を停めて待っていると、早足でビルから出てきたA。
あれ、誰かと一緒?
車に一度乗り込み、携帯を開きLINEを送る。
やまと着いたよ。
後ろからAを追ってきたスーツの男がAの腕を掴んだ。
…A嫌がってるよな?
助けに、と思ったけど、Aこういうの嫌がる気がする。なんとなく。
…なんとなく、本質は俺に似ている気がする。
サングラスとマスクをつけて、いつでも出られるように待機。
携帯を握りしめて待つ。
A、こっち向いて。俺に気づいて。
声が聞こえる距離までAと男が来た。まだAは俺に気付いてない。
「だから!もうないですってば!」
『忘れられないんだって、Aのこと…!』
「名前で呼ぶのもやめてください。」
Aの冷たい目と声。俺まで背筋が凍った。
やっとフロントガラス越しに俺に気付いたA。男を振り切って助手席のドアを開いた。
「ごめんね、待たせちゃって。」
少し強がった笑顔。
やまと「大丈夫、待ってない。行こっか?」
こんなときに、気の利く言葉ひとつ言えやしない。
駐車場付きのホテルにそのまま直行。二度目の逢瀬は何も言わずに、身体を重ね合った。朝まで、何度も何度も。
…Aは、少しだけ悲しそうな目をしていた。
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作者名:aki | 作成日時:2021年9月5日 12時