03_10 ページ43
▷あむぎり
Aさんが俺の隣に座る日は、疲れてる日。
あむぎり「Aさん、コーヒー淹れる?」
「ビール飲む。」
編集をする俺の隣に座ったAさん。
今日はちょっとイライラしてる日。
あむぎり「明日も仕事だよ?」
「だから一本だけ。」
Aさんに缶ビールを渡すと、かちゃかちゃと音を立ててプルタブをいじるが、なかなか開けられないようだ。
Aさんの持つ缶ビールのプルタブに触れ、開けると、Aさんは顔をあげて笑った。
「ありがと。」
コーヒーを手にAさんの横に座り直す。
あむぎり「Aさん、あの、」
Aさんは手に持ったビールを飲み干した。クシャッと潰して、テーブルに置く。
「送別会しなきゃね?」
あむぎり「え?誰かどっか行くの?」
「え、あっちゃん出て行くんじゃないの?」
あむぎり「え?出て行ったほうがいい?」
「…え?」
Aさんは盛大な勘違いをしている気がする。
「部屋、募集出てたから…。」
あむぎり「あ、もう埋まっちゃった。」
「え!?」
あむぎり「…俺、まだここにいていい?」
Aさんは、ちょっと困ったように笑いながら、仕方ないなーと言って立ち上がった。
「あっちゃん、お腹すいた。」
あむぎり「今日は何作ろっか。」
狭い空間。俺らだけの世界。
短い時間。すれ違う生活。
それがこんなに心地良い。
ずっとずっと、続けばいいのに。
▷あむぎり
【一緒に住んじゃう?同棲物語】
fin_____
435人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:aki | 作成日時:2021年9月5日 12時