ヒニムの中心 (ページ31)

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コラージュ hc ページ31

そうして出来上がった音源を聴き、

Aの事務所の社長はご満悦だった。

「ヒチョル君、じゃない、ヒチョル先生と呼ぶべきかな。

君の曲は最高だよ！」

ヒチョル先生、

その呼び名に口が緩む。

hc「恐縮です」

社長はネクタイにサックスの模様がついている位だから元々音楽が大好きなのだろう、

「魔法猫」について評論家顔負けのアナリシスをしてくださった。

「君の曲は、君が接してきた音楽の良い所を寄せ集めたコラージュみたいだ。

少し懐かしいサビの中毒性はオレンジキャラメルみたい、

シンプルで繰り返しの多い所はノラゴみたいだし、

ブリッジ部分での劇的な曲調の変化はSMのヨンジン氏の初期の頃みたいだ」

俺の参考にした作曲家のスタイルをズバリ言い当てる社長。

経営陣なのにコンポーザーみたいだ。

「個人的に、ブリッジ部分の転調と最後のロングトーンが好きだよ」

hc「僕もです」

思わず頷いたので自画自賛みたいになってしまったが、

事実自分の気に入っている部分はコーダ前の繋ぎの部分。

hc「ヘリウム声なのに、Aのロングトーンには伸びがあるんですよね」

あの日スタジオで聴いたタシャーニの曲が猛烈に記憶に残っていた。

「魔法猫」は少し前に書いたもののブリッジ部分がパッとせずお蔵入りしていたものだったが、

Aの声にインスパイアされてロングトーンを入れてみると途端にスッキリした。

結局そうして完成した曲をA本人に歌ってもらえるという、幸運。