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気が付くと、廃墟ビルだけが建っている不気味な場所に、" いちごちゃん " は立っていた。見渡しても、ビルしかない。



自分の様子を見てみると、髪の色は明るいものになっており、服も現実世界で着ていたものではないということに気づく。どうやら、本当に仮想世界に来てしまったようだった。すると、頭上にゲームマスターの声が聞こえてきた。

「いちごちゃんさん、おはようございます。小型タブレットを取り出してください」

 唐突に聞こえてきたゲームマスターの声に困惑しながらも、スカートのポケットに手を入れると、固い何かが指先にあたった。取り出すと、小型タブレットのようだった。どういう原理なのかはわからないが、この小型タブレットは現実世界でも仮想世界でもこの小型タブレットは使用できるみたいだった。起動してみると、仮想世界での自分のプロフィールが表示された。設定した通りの容姿と名前だ。

「左にスライドしますと、皆サマの情報とこの廃墟の地図がご確認できます。右にスライドしますと、他のプレイヤーとコミュニケーションを図ることが可能でございます」

 試しに左にスライドすると、現実世界と同じように他の人が仮想世界で設定したプロフィールが見れるようだった。

「無属性の方のみ、左下のボタンに『武器支給』というボタンがあります。そこを押していただくと、武器がもらえますので必要となった際に押してください。ただし、武器が壊れたわけでもない限り、1度のゲームで2回しか支給されませんので、使い方にはご注意ください」
「ひっ……」

 ゲームマスターの言う通りに、武器支給のボタンを押してみると、銃が足元に転がり落ちてきた。

「簡単な説明は終了します。また何かございましたら、コミュニケーション機能で『ゲームマスター』のところでご質問ください」

 右にスライドして、コミュニケーション機能を確認すると、設定したであろう皆の仮想世界での名前がずらりと並んでおり、一番上には『ゲームマスター』があった。コミュニケーション機能は、チャットアプリみたいになっている。ゲームマスターは本当に質問以外は答えないみたいで、質問以外のことを送っても答える気配はなかった。

 "とりあえず、身を潜めていよう"と考えたいちごちゃんは廃墟ビルの中に入って、壁に体を寄せた。このまま、何も起こらないことを願って。

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作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/utahakiku08/  作成日時:2019年7月7日 14時

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