Colorful Magic ４

色とりどりの想い。１ ページ31

赤side


予想外の、
とものお父さんからの招集。

そんなん聞いてへんし、大慌てやって。


高校時代の記憶がフラッシュバックする。


寮のともの部屋に踏み込まれて。

俺ら、裸同然で抱き合うてた。


二人とも、今から思うと、
まだまだ子供でさ、

初めての恋に夢中で周りなんか見えずに。

ただただ、お互いを欲してた。


あの時のとものお父さん、
あまりに冷静で。

それが逆に怖かったな・・・


ウィーンって音がして、

目の前のでっかい門が、
自動で開いて、


「うわっ、すげ」


思わず、飛びのいてしもたし。


手入れの行き届いた、
ほんま、映画やドラマの世界でしか見た事ないような、洋風の庭園に足を踏み入れる。


亡くなったとものお母さんが、
花が好きやったらしいねん。


アーチの下をくぐって、
ふと心配なってきた。

俺、こんな格好でええん？

こんな豪華なお屋敷で、
めちゃくちゃ場違いやし、
浮く気しかせえへん。

手土産一つも持って来てへんって。

あー、緊張する。


玄関いうには立派過ぎる、
ハイセンスで重厚なドアが開いて、
ともが駆け出して来た。


「大毅！」


俺の名前を呼ぶともは、
美しいて。

ジュリエットみたいな、とか、
アホなこと考える。

てことは、俺はロミオ？

ガラちゃうか。


「大毅、ごめんな、急にこんな事なって」


「いや、ええねんけど。
ともんち、何から何まで凄いな。
圧倒される。
俺、手ぶらやけどええん？」


「気にせんでええよ。
急に呼んだん、お父さんやねんし」


「せやけど。
どうせなら気に入られたいやん」


高校時代の俺の印象は、最悪やと思うねんな。


「大毅、緊張してる？」


「そら、するやろ。
初めて恋人の親に挨拶するねんから」


正確には二度目やけどな。


「じゃあ、緊張解くおまじないな？」


ともが、ほっぺたに、ちゅってしてくれた。

でへ。

やっぱ、にやけてまうわ。


俺、つくづく単純よなあ。




初めて、
中間さんがおってくれる事に感謝した。


ともの家族の中で俺一人他人っていう状況は、
さすがに厳しい。


ホテルのエントランスみたいな玄関ホールに、
お洒落な客間。

暖炉のある開放感あるリビング。

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