palette【オリジナル合作】 (ページ33)

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虹色に誓って(乳児) ページ33

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赤く染められた帰宅路を、君と歩く。もう何年も何年も繰り返してきたいつもの時間。彼の部活が終わるまで待っていたら、手が冷えきってしまった。その手は彼が握っている。
決してそういう関係じゃない。そういう関係になろうとも思ってない。周りからはやし立てられるのもいい加減飽きたけど、認めるって言うのもなんだか不服だ。

｢冬になったんだから、待ってなくたっていいのに｣
｢私、勉強するような柄じゃないし。部活してるとこ眺めてたらすぐ時間たつから、いいの｣

そう言ってもまだブーブー言う君から、私を心配しているって気持ちが伝わる。そんなの知ってるさ、外に居続けるなんて時間の無駄だし、体に悪い。でも、君が死ぬまでの1ヶ月くらい、眺めてたっていいじゃんか。

◇

｢体調も安定してきていますね、これなら少しの運動くらいしてもいいでしょう｣

そう言われてから君は毎日部活で練習に励んでいる。帰りにいつも足がふらついて、縺れたって君は練習をやめない。最後の試合くらいお前にいいとこ見せたいんだ、って笑う君の顔は心なしか寂しそうだった。
おばさんに無理そうなら止めてあげてね、と言われたから部活見学をしている私。確かに時間は早く過ぎる、だって君が心配だから。倒れそうで、でも懸命に走る姿を見ると、緊張と不安とで心が締め付けられて、寒さなんて忘れちゃう。

倒れそうになったらグラウンドまで走って、君を止める。今日は部活終わりにしよう、って諭すのに君は断固として止めようとしない。まだ大丈夫、大丈夫だから。何度その言葉を聞いて、何度不安になったんだろうか。でもその気持ちを君は知らなさそうに、汗にまみれた顔を輝かせてボールを蹴る。
いっそ君の服になって、君の異常を感知したら硬くなって動きを止めたい。いっそ君の足首にあるミサンガになって、君の足が取れちゃうくらいに強く縛り付けてしまいたい。

そんなの束縛だ、言われなくても分かってるよ。でも仕方ないじゃん。唯一の幼なじみを亡くすなんて。その幼なじみを束縛してでも、ずっとずっと私のそばにいて欲しいよ。

最近の医療は凄いんだろう。今まで難病と言われてきた病気だって、治すための薬や治療法が見つかってきているんだから。ならなんで君を治すことは出来なかったんだろう。
魔法の道具とかがあれば君は助かった？私の命を犠牲にしたっていいよ。私は君にもっと楽しい人生を送ってほしい。

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