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 話しながら歩いていると、既に着いてしまったようだ。先導したスタッフが部屋の扉を開ける。中には既に桜の彼氏でこれから夫となる紅汰が立っていた。彼は音がしたけれど未だに窓の外に顔を向けている。

「では桜、私達はロビーで挨拶回りをしてくるわね。式の開始までには戻ってくるわ」
「分かりました、お母様。ではまた後で」

 母親は部屋に着いた途端そう言い、紅姫を伴って一階まで降りていった。残ったスタッフは「式が始まる二十分前になりましたら呼びに来ますので、それまでごゆっくり、お二人だけの時間をお楽しみください」と桜と紅汰に伝え、扉を閉める。桜が紅汰の名前を呼ぶと、彼はゆっくりと振り返った。

「……お待たせ、紅汰。随分待たせちゃったかな?」
「桜……いえ、大丈夫ですよ。この部屋は外の景色がよく見えるので、待ってる間に見てました。ほら、この窓から見れますよ」
「そうなの? ……あ、本当だ」

 紅汰に教えられた窓に近づき、外を見る。窓の外には、教会の本庭園が広がっていた。今の時期に適した花や植物が咲き乱れ、スタッフが日々手入れをされているのが分かるその光景を見て、桜は思わず感嘆の息を漏らす。

「うわぁ……! 凄い綺麗……。あ、あれは……薔薇の花?」
「綺麗ですよね。俺もここに通された時は驚きましたよ。――――……ところで、それが西洋の花嫁衣裳ですか?」
「色んな花がいっぱいあるね! ……え? あ、うん。ウェディングドレスって言うみたい。…………に、似合ってる?」

 桜は窓の外にある本庭園を見ていたが、紅汰に疑問をぶつけられてはっと我に返った。そして体ごと彼の方を向け自分の姿を見せてそう聞く。すると紅汰は桜の頭のてっぺんから足のつま先まで念入りに見たあと、満面の笑顔になった。

「似合っていますよ、桜。こちらのも白色なんですね」
「ありがとう、紅汰! うん、ウェディングドレスも純白だよ。白無垢と同じだね。他にもオフホワイトやアイボリーもあったみたいだけど、千歳が純白に決めちゃってね。花嫁となる私の意見は無視されちゃった」
「おやまあ。黛さんて意外と強情なんですね」
「そうみたい。でも香恋や千歳が服飾系に強くて助かったよ。私と紅姫だけだったらなかなか決まらなかったかもしれないし」

 千歳の家は母親が服飾関連の会社の社長、香恋もよくショッピングに行っているようで、洋服については桜より強い。

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作者名:8人の小説家 x他6人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年6月3日 18時

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