純白の結婚式 （紅緋） ページ29
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日本の古都としても知られている京都、この地に古くからある教会で、今日厳かな結婚式が行われようとしていた。そう、国内でも古くから存在しており、皇族と同等の地位を持つ朝霧家の令嬢桜と、朝霧家の養子の紅汰との結婚式である。
ドレスの形は定番のＡラインでオフショルダーのデザイン、主にシルク、そしてスカート部分にはシルクの上にシフォン素材をふんだんに使われている物だ。しかも主素材のシルクは最高級のミカドシルクで、ウェディングプランナーやデザイナーの人達が「朝霧家のご令嬢の結婚式なのだから、最高級の物を使おう」と言い、こうなったのである。
式場のスタッフは流石に手慣れていて、少し戸惑ってはいたものの、予定の時間より早く着替えて化粧をし、髪の毛もセットし終えた。髪型は全体を巻きハーフアップのシニヨンにしている。
「…………！」
「まあ、とても綺麗よ桜！ よく似合っているわ。貴女もそう思うでしょ、紅姫？」
「はい、麗那様。桜様、とてもお美しいです」
「ありがとうございます、お母様。嬉しいです」
着替えを終えた途端フィッティングルームに入ってきたのは、母親である麗那と、昔からずっとそばに居てくれた紅姫だった。母親は黒の留袖、紅姫は華やかな淡い菫色のパーティードレスである。
「お母様、お父様と紅汰の着替えは終えたのでしょうか？」
「ええ、既に終えているそうよ。今はお父様が来賓の人達に挨拶しているでしょう。紅汰は多分……ファーストミート？ をする部屋で待っていると思うわ」
ファーストミートとは、欧米でよく行われている、新郎新婦が別々の部屋で着替えを行い、それぞれ準備が整った所で初めて顔を合わせるというもの。
(参考サイト→https://www.mwed.jp/articles/3087/)
「そうですか……。まだ、式までは時間がありますよね？」
「ええ。式が十一時からだから、あと一時間はあるわね。紅汰の所に行くのかしら？」
「はい。衣装選びは彼を抜きにして、紅姫や香恋達と見て決めたので……この姿を見てもらいたいです」
実は言った通り、衣装選びは紅汰を抜きにして、親友である香恋や千歳、そして彼の双子の姉の紅姫と一緒に見に行ったのだ。理由は勿論、今母親が言ったファーストミートをするため。香恋に聞いて調べた時から、ずっとやってみたいと思っていた。
「そうなの。ならちょっと待ってちょうだい。今スタッフにファーストミートをしてもいいか聞いてくるわ」
「はい、分かりました」
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