palette【オリジナル合作】 (ページ27)

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新緑の中で(恋花) ページ27

大きな大きな木をを見上げて僕らは誓った。

あの日の約束をきっと君は忘れているだろう。

私は、その約束を絶対に忘れないと誓う。

これからもずっと、永遠に。

ーー

「君の名前は？」

美しい少女の元に駆け寄ったのは爽やかな少年。

その容姿に見惚れたと見受ける

「えっと…A、春野A、君は？」

少年が想像していたよりいともたやすく彼女は名前を告げた

それから君の名前は？と。

「僕は楓。藤田楓。はじめましてAちゃん」

彼女もまた嬉しそうにその言葉を受け取り、彼の名前をつぶやいた

「よろしくね、楓くん」

2人は小さな木陰でひと時を過ごした

それから小さな小さな手で約束をした。

「「また遊ぼう、約束」」

そんな約束。

ーー

あの日、綺麗な虹がかかってたんだっけ。

真緑に染まった木に触れて思う

十数年以上前の話。彼はきっと覚えていないのだろう。

私はずっと、忘れられずにいるというのに。

ここは森の中の少し開けた草原。

上を除けばどこを見回しても緑一色の自然溢れた場所。

僕にとって、忘れられない深い思い出のある場所。

木の下にあるベンチで月に一度同じ日に、本を読むのが私の最近の楽しみとなっていた。

木から溢れる癒しは体を、心を溶かしていく

いい天気だ。

少ししか話していないものの私達はまるで正反対だった。

私は春が好きで、彼は秋が好き。

呼び込むのは君の暖かさで、僕はその暖かさを追い払ってしまう冷たさ。

だけど君は、僕をも呼び込んでくれた

ふと触れた彼の冷たい手に違和感と、

暖めてあげなきゃ

なんて使命感を感じたものだ。

「「会いたいなぁ……初恋の君」」

2人は毎月、1日ずれて同じことを呟いていた、

木の方がなぜ気づかないのかと問いたくなるほどに。