【d!】殺人鬼、脅威を拾う。 (ページ3)

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「しっかし、どうするかねぇ」

少年は怯えている。
生憎、子供を殺すのは抵抗がある。…まあ自身が子供であることも相まって、殺す選択肢は早々に消え失せた。
ダンボールに人…というか子供を詰め込むとは、なかなかの毒親だったらしい。
長い前髪で顔は見えないが、所々覗く肌には痣ができていた。

「…お前、拾ってもらえるかねぇ」

こんな辺鄙な場所、変人しか通んないよ。
私はまだマトモだから、ダンボールを切り刻むとかもしないし、僅かな変化にも目を向けられる。
何より、こいつは子供だ。
食い物を消費していくだけの子供を、誰が拾うだろう。

「……しゃーなし、だね。
お前、ヤバイくらい不幸だな」

怯えて、カタカタ震える少年の頭を撫でる。

「子供を慰めるとかあんま得意じゃねーんだけどなぁ…
よーし、よし。お…私が拾ってやるからな」

幸せにできることは保証しないけど。
撫でて、びっくりしたのだろうか。少年は顔をあげる。
顔には、傷ひとつ無かった。
代わりにあるのは、大きい翡翠色の瞳。

「…だいじょーぶ。お前を殴ったりはしないから。ね、話せる？」

出来るだけ優しい、丁寧な言葉遣いで。
こいつを刺激しないように。

「………ごめ、なさ…」

思わず口がへの字に曲がる。

「…んな謝んなよなぁ…」

私が殺す奴みたいに震えて、謝る。

「別に、殺したい訳じゃないんだよ」

謝るのが1番興奮すんのにさぁ…お前に謝られても別にどうと思わねーんだよ。
やっぱ、こいつは殺さない。私が育てる。

「おいで…って歩ける？ダンボールごと持ってけば良いか」

震えが収まった少年を、ダンボールごと持ち上げる。

「…あ…？う？」
「やべぇ…喋らんないのか…まあ何とかなる！」

狭い道を通り、私の家に向かった。