金魚すくい＠TAS ページ3
「ちょっとアブさん、しっかりしてくださいよ。まだこんなに残ってるじゃん」
「つわはす君いつからそんなに生意気になったわけ？大体素手で掴むのも無理な話なの、わかる？」
「仕方ないでしょ。アブさん、この人と――あ、それアブさんじゃない？早く、取って」
「つわはすがアブさんアブさん連呼するからこうなったんだしょ！？良いから早く彼女の話聞いてあげてよ。セピアさんが待ってるから」
アブさん、聞いたことのある名前だった。思い出せない。
つわはすという名前にも耳に馴染むものがあった、だけど何だろう。思い出せない。
ただ、セピアという名前は知っている。私の、恐らく大事な人。彼の優しい笑顔が頭をよぎった。
「――本当にいいのかよ」
「だから今こうしてるんでしょ。わかったら早くして」
どこからか聞こえてくる怒気をはらんだ声に押されるようにして男が正面の席へ腰かける。その際、パーカーの袖のあたりが少し湿っているのが見えた。
「お待たせ。じゃあ話し続けるけど――もう手っ取り早く質問形式で聞きますね。嘘吐いてもすぐバレるから、そこんとこ宜しく」
男の前に置かれた、氷の入ったコップがからんと音を立てた。夕焼けに溶かされたのか、コップの側面には水滴がいくつかついている。
私はそれに視線を落としながら、男の話を聞いた。
「あんたはセピアさんって男を知っている」
頷く
「セピアさんはあんたの、何？好きな人、彼氏、同級生、親戚、家族、知人、先輩――どれ？」
沢山の言葉が脳髄を浸食する。セピアさんという男は、一体私の何なのか。当てはまる言葉が見当たらない。
顔を上げて助け舟を仰いだけど、目の前の男は真っ直ぐこっちを見たまま視線を逸らさない。
「……彼、氏。私の、一番、大事な人」
水の跳ねる音が六回程聞こえて、口が自然と開かれた。
そうだ、何を忘れていたんだろう。こんなに大事な事なのに。
私がそう口にすると、男は満足そうに笑った。
「セピアさん以外の男の名前、言ってみて。誰でも良いよ」
セピアさん以外の男、ということはセピアさんを除いた他の男ということか。
私は口を開いて、名前を出そうとした。しかし何でか口がうまく動かない。頭の中に何も浮かんでこない。魚が、跳ねるような軽快な音だけが頭に響く。わからない。
セピアさん以外の男って、何？
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海猫(プロフ) - 初めまして。貴方様の作品を見て素晴らしいと思いました。応援してます！ (2015年6月27日 13時) (
レス) id: 616e7fc4a1 (このIDを非表示/違反報告)
− - 自演乙 (2015年6月25日 21時) (レス) id: 3f2e93888c (このIDを非表示/違反報告)
ミネラリン様LOVE - はじめましてミネラリン様の信者です(真顔)←←ミネラリン様14とか待ち遠しいwwwあ、更新頑張ってくださs((殴☆何様☆ (2015年6月23日 22時) (レス) id: 82e983d564 (このIDを非表示/違反報告)
春雨パスタ(プロフ) - コラボ20人なんて凄い発想しましたね！(・v・)更新頑張って下さい！応援してます！ (2015年6月22日 18時) (レス) id: 4c276c06bb (このIDを非表示/違反報告)
黒餓鬼 - はじめまして！ミネラリンさんにつられて来たのですがプロローグも含め3話とも面白くて、更新が待ち遠しいです！皆さん頑張ってください、応援しています(*^-^*) (2015年6月21日 12時) (レス) id: db053f7aa7 (このIDを非表示/違反報告)
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