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また俺の腰を抱きしめなおして
渉が話し出す。

「太輔、最近、ちゃんと寝てる?」
「…うん。」
「ちゃんと、食べてる?」
「…う、うん。」
「俺、がんばる太輔、好きだよ。
でも、体が資本だから、ね?
ちゃんと寝て、ちゃんと食べろよ。」

メンバーもみんな心配してるって。
がんばりすぎるなって。
いつものちょっとわかりにくい調子で
でも一生懸命に、話してくれる。
俺のこと心配してくれるのは昔から。
渉の優しさはちっとも変わらない。

「…ん。あり、がと…」
涙が出そうで少し返事に詰まる。
どうしよう…渉への気持ちが口唇から
今にも、あふれてしまいそうだ。

「…。」
「…。」
二人して無言のまま。
首に当たる渉の呼吸が心地よい。

「太輔…。」
「ん?」
「たいちゃん、あったかいね。」
「う、うん///わたもね?」
渉のとろりとした声にまた心臓が跳ねる。

「…。」
「…。」
なんとなく部屋の空気が
濃くなっていくような気がしたとき
渉がすぅーっと鼻から大きく吸い込んだ後
息だけの声で囁いた。

「たいちゃ…いい匂い、すんね…」
「―ッ!?」


あぁ、もう限界だ。あふれて、しまう。


「す、き。渉。好き、だよ。」
言ってしまった。やってしまった。

「…。」
「渉が好き…と、友達としてじゃなく
渉と、つ、付き合いたい。」
前を向いたまま小さな声で告げるも
「…。」無言のままの渉。

やっちゃった。どうしよう…
渉、困ってる…どうしよう…
いやだ。いやだ!嫌われたくない。

「ごめ…わた…う、嘘だよ?
ね、わた…って、あれ!?」
慌ててなかったことにしようと
俺の肩に置かれていた渉の顔を見れば

「ね…寝てる…。」

渉はスースーと小さな寝息を立てて眠っていた。

肩透かしを食らいながらも安堵し、
そして気づく。
渉だって忙しいんだってこと。
昔とは違うんだってこと。

未来のことはわからない。
きっとずっと一緒にはいられない。
望むような関係にもなれないだろう。
それでも。いや、だからこそ。
渉が俺のそばで笑ってくれるように
努力するよ…
がんばりすぎないようにがんばるから。
だから―

「そばにいてね?」

眠る渉の頭に頬を擦り付けて
腰に巻かれた渉の腕を上から
抱きしめて俺も目を閉じた。


2015/12/24 Merry Christmas
二人で冬ごもり〜おわり〜

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coguma(プロフ) - 緒直さん» 毎度、ご贔屓に預かりありがとうございます!メンバー絡むと私も書いてて楽しいです。実際、わたたいにメンバーは振り回されてる気がして、妄想が止まらないです。またわちゃわちゃ書きますねー。 (2016年2月26日 11時) (レス) id: cd9086678d (このIDを非表示/違反報告)
緒直(プロフ) - どのお話も好きですが「看病な夜」がどちらのパターンも後日談を含めて楽しいです!巻き込まれるメンバー(特に宮っちの不憫さ)に笑わせて頂きました! (2016年2月26日 9時) (レス) id: 8f38dfd30e (このIDを非表示/違反報告)
coguma(プロフ) - 太輔姫にメロメロさん» お返事、ありがとうございます。あー!なるほど。あの現場を見て、玉ちゃんはどう思ったのかしら笑 (2016年1月23日 19時) (レス) id: bbde69f82a (このIDを非表示/違反報告)
太輔姫にメロメロ(プロフ) - 会報vol.15の奴で太輔の目の前に玉ちゃんも居たらしいです (2016年1月23日 0時) (レス) id: 3af4f13be7 (このIDを非表示/違反報告)
coguma(プロフ) - 太輔姫にメロメロさん» コメントありがとうございます!女子ヶ谷、かわいいですよね〜。玉ちゃんどこにいたのでしょう?? (2016年1月22日 23時) (レス) id: bbde69f82a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:coguma | 作成日時:2015年9月29日 23時

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