わんだふぉな日々

最後もやっぱりわた ページ33

「将来…」
「わかんないけどさぁ、
なんか、家庭もって子供たちが…」

ズキン。胸が痛い。

将来、普通に結婚して、
子供が産まれて家族になって。
普通のこと。
渉の描く普通の未来に、俺は入れない。
どんなに望んでも。

トーク収録中つい気落ちしてしまう。
だめだ。普通にしなきゃ。しゃべらなきゃ…

…「おつかれさまでしたー。」
「「したー。」」
頭真っ白のまま収録が終わってしまった。
もう帰ろ…。

「太輔？」
渉が心配した顔で声をかけてくれる。
「…なに？」
渉が悪いわけじゃないのにちょっと
八つ当たりで冷たく返してしまう。

「どした？元気なくね？」
「別に…。普通だよ？」
「ん…そか？にゃらいいけど。」
「ふはっ。アリガトウゴザイマース。」
気にしてくれるのが嬉しくて、笑ってしまう。

「なぁ、渉。」渉を見ずに問いかける。
「んん？」
「最後は…誰といたい？」やっぱりいつか結婚するの？…
「最後？」
「うん。最後。」いやだよ、最後まで俺といてよ…

渉をチラと見ると腕組みして
眉間に皺を寄せて
唇を突き出してる。

「んん？最後？死ぬとき？老後のこと？んー。」
「老後って…。
…うそ！やっぱなんでもない。
変なこと聞いた、悪い。」

答えを聞くのが恐くなって
せいいっぱい明るく笑って言って、
逃げるように渉に背を向ける。

そのまま帰ろうと部屋のドアノブに手をかけると、


「太輔と！」


俺の背中に渉の声がぶつかる。

振り向くとニパッと笑って

「最後も、」
「絶対、」
「太輔といたい。」

手話つきで俺を指差して答えてくれた。

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