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彼女は一体何者なのだろう。一体、この時計にどんな細工を施したのだろう。
店を出、再び彼は歩く。ぼんやりとしていると、彼は再び先ほどの川辺りへやってきていた。
(過去……ね)
鮮やかで、僅かに苦い思い出。口の中に残った苦味を弄びながら、彼は時計を見た。
本当に、もし本当に過去に戻れるというのなら。果たして自分は、素直になれるのだろうか。もう一度彼女に言い直すことは出来るのだろうか。
(って、何本気にしてんだよ)
タイムトリップなど、所詮絵空事。ありえるはずがない。
それでも縋りたいと思ってしまうのは、彼女に出会ってしまったからか。あの店で、優しい味を知ってしまったからか。
染まる桃色。溶けていく甘味。過去に望んだ未来のようなそれを。
「……」
女々しい、と笑われても構わない。馬鹿なことをした、と嘲笑されても構わない。
笑われるなら、試した後でた。
足を止め、大きく空気を吸い込む。暖かで柔らかな空気が、残っていた香りを奮い立たせ、口の中に蘇らせる。
どうか、戻れるのであれば、あの日に。自分と彼女が別れた日に。
彼は意を固めると、ゆっくりと腕時計のボタンに力を込めた。
爽やかな苦味が、増していく。昔感じていた嫌な苦味。針の進む音に紛れて、彼はぐっと顔を歪めたのだった。
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幻想曲(プロフ) - 鳴菜瀬さん» 鳴菜瀬ちゃん！！久しぶりです、ものすごい亀更新になると思うけどまた見てくれたら嬉しいです……！ (2018年2月10日 23時) (
レス) id: 530eb924bf (このIDを非表示/違反報告)
鳴菜瀬(プロフ) - お久しぶりです。鳴菜瀬です!!覚えてるかな?久しぶりに占ツク来たら新作上がっててびっくりしました。おかえり!これからも応援してます! (2018年2月4日 17時) (レス) id: 62c6436c3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：幻想曲 | 作者ホームページ：http://uranai.amanoboru
作成日時：2018年2月1日 2時
