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彼が席に着くと、すぐにカウンターにいた女性がメニューと水を運んできた。
「どうぞ。本日のお菓子は桜マカロンになっています」
「え、桜……？ 」
思わず聞き返してしまった。今日はなんと、桜に縁がある日だろう。
「はい。ここ数日、暖かいですから。春らしい陽気で、桜がぴったりだと思って」
「……それ、貰えますか」
「かしこまりました。ご一緒にコーヒーはいかが？ 」
「じゃあ、それも」
「はい。では、メニューをお下げしますね」
彼女が再びカウンターに戻ってから、彼はぼんやりと天井を見上げた。
(……桜……ね……)
悪くは無い。それでも今の自分にとっては、どこかで嫌に引っかかる。綺麗で、可憐で、純情で、可愛らしくて。
今までずっと独りでいたのは、まさか。そんな。
持ち上げた腕で、目元を覆う。豆の香りに微睡みながら、暗闇の中に彼女を見た。
ああ、やっぱり自分は彼女を。
「お待たせしましたーっ」
軽快な声が、彼を現実に引き戻す。晴れた闇の先には、赤い髪とほんのり香る青リンゴ。
「本日のお菓子、桜マカロンとコーヒーです。しっかり味わってくれよな！ 」
「……はあ」
「こらブンちゃん。ラフすぎるわよ、ちゃんと接客してちょうだい」
「堅いなあAさん……わかったよ。どうぞごゆっくりー」
どうやら、彼は従業員のようだ。店の奥に消えていく彼を見送りながら、彼は皿の上のマカロンに目を移し、静かに手を伸ばした。
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幻想曲(プロフ) - 鳴菜瀬さん» 鳴菜瀬ちゃん！！久しぶりです、ものすごい亀更新になると思うけどまた見てくれたら嬉しいです……！ (2018年2月10日 23時) (
レス) id: 530eb924bf (このIDを非表示/違反報告)
鳴菜瀬(プロフ) - お久しぶりです。鳴菜瀬です!!覚えてるかな?久しぶりに占ツク来たら新作上がっててびっくりしました。おかえり!これからも応援してます! (2018年2月4日 17時) (レス) id: 62c6436c3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：幻想曲 | 作者ホームページ：http://uranai.amanoboru
作成日時：2018年2月1日 2時
