ORDER13 ページ46
「お前はいっつもそうや」
爽やかで軽い声は、どこにもない。そこにあるのは低く、黒さを帯びた声。
「底抜けに明るくて、肝心なとこでアホで、誰からも好かれとって。俺にないもん全部持っとる」
僅かだった凍えが、びしびしと広がる。
似た台詞を、自分ははっきりと聞いたことがある。違う、この台詞は彼のものではない。この台詞は、あの時。自分が言ったものとそっくりな。
「そんな奴やから、あいつに好かれるんやろな」
「……白石？ ……何言い出すん、お前やって……イケメンでなんでも完璧で……俺、お前が羨ましくて……」
「羨ましいなんてこっちの台詞や、ええ子ぶんのもたいがいにせえよアホンダラ！ 」
ついさっきとはまた違った感情が謙也を襲う。
自分は今、何を言われているのだろう。あの時親友に言ったことを、今度は親友が同じようなことを自分にぶつける……
「俺、ずっとあいつが好きやった……やけどどんどん謙也に惚れてくあいつに好きなんて言えへんやんか！ それだけやない、俺が欲しかったもんみんなお前が持っていく！ なのにお前は……！ 」
「ちょ、ちょい待てや白石！ 一旦落ち着かんかい……」
(あ、あかん)
咄嗟に腕を伸ばした瞬間。謙也の脳裏に、自分のそんな声が響いた。
あの時と真逆の現状。横断歩道ではないにせよ、ここは十字路。つまり、これは。
「離せ！ 」
どん、と体が傾いた。
途端に、鳴り響いたのは劈くクラクションの音。
横に目を向ければ、迫ってくるのは眩しい二つの光。目を閉じた中、口に広がったのはあの時食べたレモンの味。
「謙也ーっ！！ 」
その声がいやにその味を苦く、酸っぱく、下に刷り込ませて。彼はそれっきり意識を失った。
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幻想曲(プロフ) - 鳴菜瀬さん» 鳴菜瀬ちゃん！！久しぶりです、ものすごい亀更新になると思うけどまた見てくれたら嬉しいです……！ (2018年2月10日 23時) (
レス) id: 530eb924bf (このIDを非表示/違反報告)
鳴菜瀬(プロフ) - お久しぶりです。鳴菜瀬です!!覚えてるかな?久しぶりに占ツク来たら新作上がっててびっくりしました。おかえり!これからも応援してます! (2018年2月4日 17時) (レス) id: 62c6436c3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：幻想曲 | 作者ホームページ：http://uranai.amanoboru
作成日時：2018年2月1日 2時
