ORDER6 ページ39
あの時、どこでどう間違って自分が過ちを犯してしまったのか。少しでも違えば、彼はまだ親友でいてくれたのではないのか。
それに、幼馴染のことも。
「もうずっと会っていないの？ 」
Aの声に、謙也は顔も上げずにに頷いた。
「……また、その子に会いたいと思う？ 」
二、三間を置いて、首が動く。方向は縦。
どんな顔をして会えば良いのか。どんなことを言えば良いのか。考えに考えて考えすぎて、最後は真っ暗になってどうでも良くなる。
そんなことをもうずっと繰り返してきた。もう、いい加減解放されたい。
「ねえ、謙也くん。私が、もう一度その子に会わせてあげましょうか」
「……は？ 」
今、何と。
ポットの向こうでAが微笑む。彼女はまた、続けた。
「謙也くん、私を助けてくれたでしょう？ だから、今度は私が謙也くんを助けてあげたいの。どう？ ……私を信用してみない？ 」
「……」
本当に、もう一度、親友に会えるのか。
ほんの少しの光に、心が動いた。しかし、いやいやと彼はその考えを切り捨てた。
会えるはずがない、だって彼は。
「……Aさん。あいつがどんな奴でも、会えたりするんですか」
「ええ」
「死んでいたとしても？ 」
カチ、カチ、と妙に大きく針の音が響く。
彼女は、躊躇うことなく頷いた。穏やかに口元を緩めたまま、にこりと笑って。
「もちろんよ。だって、過去に戻るんですもの」
「え！？ やったら、その過去……変えられるってことも」
「そうね。貴方の記憶なんだから、どうにだって出来るわ」
ぱっと、謙也の顔が明るんだ。どくどくと鼓動が増していく。
あの時に戻れれば。自分はこんなに苦しむことも、親友を失うことも、それにあの日の恋だって……
「でもね、謙也くん。これだけは覚えておいて」
静かで、どこか冷たい声が彼を止めた。
「同じ未来は存在しないわ。それに、死人を蘇らせるような行為は、私は勧めない。やめておいた方が、貴方の身の為よ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「テニスの王子様」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
幻想曲(プロフ) - 鳴菜瀬さん» 鳴菜瀬ちゃん！！久しぶりです、ものすごい亀更新になると思うけどまた見てくれたら嬉しいです……！ (2018年2月10日 23時) (
レス) id: 530eb924bf (このIDを非表示/違反報告)
鳴菜瀬(プロフ) - お久しぶりです。鳴菜瀬です!!覚えてるかな?久しぶりに占ツク来たら新作上がっててびっくりしました。おかえり!これからも応援してます! (2018年2月4日 17時) (レス) id: 62c6436c3e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：幻想曲 | 作者ホームページ：http://uranai.amanoboru
作成日時：2018年2月1日 2時
