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雨はその日も、一日中降り続けていた。
「……きゃっ！ ブンちゃん、どうしたのよその格好！ 」
客足が途絶え、店の奥に一度引いた彼女が目にしたのは、ずぶ濡れになって頭からバスタオルを被ったブン太の姿。
どうもこうも、とブン太がぼやきながらバスタオルから顔を出す。
「傘取られちまってさあ、さっきようやく帰ってきたとこなんだよ……つーかAさん、店は？ 」
「物音がしたと思って、お客様も少ないから見に来たのよ」
「マジ？ すんませんわざわざ。あ、Aさん風呂使っていい？ 」
「良いに決まってるでしょ！ シャワーくらい浴びてきなさい……あ、ついでにお風呂掃除もしておいてね。私もお店閉めたら入っちゃいたいの」
「へーい、ちゃっかりしてるぜぃ……」
ブン太の背中とくしゃみを見送った後、Aは首を傾げながらまた店に戻った。
取られた傘、というのは恐らく彼のお気に入りだろう。彼の髪よりも落ち着いた色をした赤い傘。
無意識に間違えられる色ではない、意図的だとしても犯人にあの目立つ傘を取る勇気がよくあったものだ。
(……？ )
まあ、そんなこともあるものか。
店内に残っていた最後の客の勘定を終え、ベルが鳴った。その時。
「……あら！ 」
「？ 何か」
「あ……いいえ。ごめんなさいね、以前いらしたお客様と似ていたもので。どうぞ」
すれ違いに入ってきた客に、Aは思わず声を上げた。
入ってきたのは、精市の幼馴染と名乗ったあの男。こちらを覚えてないということは、確かに時計を利用したのだろう。
こんな偶然も、珍しいものだ。
以前と同じ席に座った彼に水を出しながら、Aは徐に口を開いた。
「長い雨ね」
「え？ ……はあ、そうですね」
「どうだったの？ 」
「……は？ 」
「貴方の悩みは解決できた？ それと、幼馴染にお礼は言ったの？ 」
「え？ ……！ あ……！！ 」
彼の脳裏に、記憶が駆け巡る。
仄かに香るコーヒーの向こう。辿り着いたその顔を思い出した彼の頬に、一筋の涙が伝った。
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幻想曲(プロフ) - 鳴菜瀬さん» 鳴菜瀬ちゃん！！久しぶりです、ものすごい亀更新になると思うけどまた見てくれたら嬉しいです……！ (2018年2月10日 23時) (
レス) id: 530eb924bf (このIDを非表示/違反報告)
鳴菜瀬(プロフ) - お久しぶりです。鳴菜瀬です!!覚えてるかな?久しぶりに占ツク来たら新作上がっててびっくりしました。おかえり!これからも応援してます! (2018年2月4日 17時) (レス) id: 62c6436c3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：幻想曲 | 作者ホームページ：http://uranai.amanoboru
作成日時：2018年2月1日 2時
