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狭い道。溢れる人々。並んだビルの隙間を避けながら、暖かな日差しは街を照らす。
ここは、こんなにも人が多かっただろうか。
「……」
不釣り合いな日差しを避けるように、彼は白い帽子を自ら深く被り直した。
数年ぶりの帰国。少し見ないうちに変わってしまうものだ。自分の背丈も、目線も、ビルの数や仲間。人の数。
それでも不思議なもので、しばらくすればどんなに離れていても馴染んでしまうものなのである。ああ、元からここはこんな場所だった、と。
喧騒を避けて避けて、やがて彼は街の外れへとやって来た。
水辺。緑の草。それから、盛りを終えて散り始めた薄桃色の花。
「……桜、もう終わりなんだ」
呟く彼の帽子に一枚。近くの木から散った花弁が乗った。
払おうとあげた手を止め、帽子のつばへとその手を移す。落とさないように慎重に下ろした帽子を見て、彼はぼんやりと考えた。
(……十二年……)
まだ子供だったあの頃から、ずっと桜を見ていない。こんなに薄くて可愛らしくて、綺麗な色だったのか。
(……)
不意に、脳裏を甘い香りがよぎった。
小さく高い声。頼りなく、自分を呼んでいる。そうだ、彼女は確か。
「……リョーマくん……？ 」
流れ込んだ声が彼を現実に引き戻した。
帽子から花弁が落ちる。滅多に見開かない目を思わず彼は見開いた。
「……竜崎？ 」
そこには、十二年分成長した姿で、脳裏を過ぎった彼女が自分を見つめて立っていた。
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幻想曲(プロフ) - 鳴菜瀬さん» 鳴菜瀬ちゃん！！久しぶりです、ものすごい亀更新になると思うけどまた見てくれたら嬉しいです……！ (2018年2月10日 23時) (
レス) id: 530eb924bf (このIDを非表示/違反報告)
鳴菜瀬(プロフ) - お久しぶりです。鳴菜瀬です!!覚えてるかな?久しぶりに占ツク来たら新作上がっててびっくりしました。おかえり!これからも応援してます! (2018年2月4日 17時) (レス) id: 62c6436c3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：幻想曲 | 作者ホームページ：http://uranai.amanoboru
作成日時：2018年2月1日 2時
